「大海の奇跡」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あ、中森警部!!」
名前が博物館に足を向けていると、同じくワゴン車から博物館に向かっていた中森の姿を見つける。
「おお、名前ちゃんじゃないか!!今日は鈴木財閥のお嬢さんと屋上にいたんじゃなかったのか?」
中森を見つけた名前が思わず呼び止めると、中森は名前に視線を向けて走るスピードを緩めた。
card.422
「えっ…と、屋上にいたんですけど"大海の奇跡″が気になって…どうなってます?」
「今からちょうど"大海の奇跡″のところに行く所だよ……まぁ、捜査形態の方はあのジィさんのおかけで目茶苦茶だな…」
「……中森警部も大変ですね。私もご一緒しても良いですか?」
名前は疲れ果てたような声を出す中森の姿に小さく苦笑しながら、そう尋ねる。
「ああ、名前ちゃんなら構わんよ!」
「ありがとうございます!」
中森の承諾を得て、名前は中森と共に博物館の正面玄関に向かって足を進めた。
---タタタタ…
正面玄関に近付くと、名前の隣を走る中森が玄関前の人だかりに大声で声をかける。
「おーい、お前ら!」
「………。」
(あの人達…何か持ってる?)
名前は、スーツ姿の男性達が守るように抱えているケースを見て首を傾げる。
「馬鹿、お前ら何をしてるんだ!?早くケースを中に入れろ!」
そんな名前を尻目に、中森は捜査員達にケースを館内に戻すようにと詰め寄るが、捜査員達はニコリと笑う。
「大丈夫ですよ!!どうせ、この中は空ですから!」
「空だと?」
「?」
名前は仰々しく捜査員達が運んでいたケースが空だと聞いて、小さく目を見開く。
「………実は、我々は囮なんです!」
そんな名前と中森に、捜査員達はこっそりと小声で告げる。
「囮だと…?」
「じゃあ…"大海の奇跡″は、今どこに?」
名前の問いに、捜査員はキョロキョロと辺りを見渡しながら、更に小声で言葉を続ける。
「"大海の奇跡″は、清掃員に扮した鈴木次郎吉さんが、ゴミ袋に入れて博物館の裏から……」
「!」
(そっか、だから快斗……)
名前は、その言葉を聞いて全てのピースが繋がったかのように疑問が解消する。
「あの、そういえば……中森警部!」
しかし、トリックとキッドの目論みが分かった事で一瞬気が緩んだ名前だったが、すぐにここに来た目的を思い出して中森に声をかける。
「名前ちゃん、どうした?」
「……あの、私より先にコナン君が来ませんでしたか?」
「あぁ、さっきまでワゴン車にいたんだが……そういえば、あのジィさんが捜査員を連れて博物館に向かった時に、一緒にワゴン車から出て行ったよ。毛利探偵のとこにでも戻ったんじゃないか?」
「………そうですか」
名前は中森の答えを聞いて小さく返事をしてから、博物館の裏口のある方に目を向ける。
「……………。」
(そうか。私が解けたトリックだもん。あの新一なら、もうとっくにお見通しよね…)
「結局いくら心配だからと言っても、あの2人の勝負に私が入る隙はなかったわね……」
(快斗………待ってるからね)
--犯行が終わった後に…"無事に私の部屋″に帰ってくるて約束よ?--
そして中森達に聞こえないような小さな声で呟きながら、学校の屋上で見た快斗の笑顔を思い浮かべた。