「大海の奇跡」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『さぁ、怪盗キッド!!標的の"大海の奇跡″まで…あと、100mを切りました!!』
「おい、館内に向かわせた捜査員!そっちはどうなってる!?」
中森はワゴン車の車内でモニターを見つめながら、トランシーバーで次郎吉と共に博物館内に向かった捜査員に呼び掛けた。
card.420
博物館内では、捜査員が次郎吉に指示された作業を進めながらも、トランシーバーで中森に言葉を返す。
「完璧です。中森警部!!この作戦なら、さすがのキッドも裏をかかれて……」
「……シッ!」
しかし、ふいに次郎吉が捜査員の言葉を遮って、トランシーバーを奪い取り中森に向かって口を開く。
「彼奴が盗聴してるやもしれぬから、お喋りはここまで。なーに!心配せんで良いぞ、細工は流々じゃ!」
『後は結果を御覧あれってなぁ!!ハーッハハ!!』
---ブチッ、
「あ……ちょっと、」
次郎吉は肝心な事は伝えずに、一方的に通信を切ってしまう。
「クソッ!!あのジジィ…」
「け、警部!何か変ですよ…今日のキッド…」
悔しげにトランシーバーを握る中森に、モニターを見つめていたスタッフが声をかける。
「……何!?」
「足は確かに動いているんですが、歩いているというよりは…何か揺れているような、吊られているような……?」
「なっ…何だと!?」
スタッフの言葉に、中森は食い入るようにモニターに映るキッドを見つめる。
「クソッ!と、いう事は…ヘリコプターに吊られているって事か!?おい!!キッドの頭上にいる7番機!!応答しろっ!」
空中を歩くキッドの絡繰りに気付いた中森は、大声でヘリコプターに呼び掛ける。
『……7番機!?おい、7番機!』
「…………。」
---ピッ、
キッドの頭上にいる7番機の機内には、中森の呼び掛けが響いているが、パイロットは何も答えずにニヤリと口元に笑みを浮かべると、1つのスイッチを押す。
---シューッ、ポン!!
すると、空中に浮かんでいたキッドから突然白煙が立ち上がり、小さな破裂音と共にキッドの姿が消え去る。
『き、消えた!?たった今…キッドが博物館の側で姿を消しました!』
「……ふっ、やっぱり7番機か!!7番機に乗ったキッドの手下が、煙幕に紛れて機内に回収したってわけだな!」
その様子をモニターで見ていた中森は、ニヤリと笑いながらトランシーバーを手にとる。
「……上空を警戒中のヘリ連中!!聞こえるか!?中森だっ!奴は手下と共に7番機の中にいる!直ちに、7番機の位置を報告し警察のヘリが到着するまで取り囲んで逃がすなよっ!」
長年追いつづけたキッドと、その手下に繋がる手がかりにようやくたどり着いた中森は、僅かに自分の口元が緩むのを感じながらトランシーバーに向かって大声で指示を出した。