「大海の奇跡」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「キッド様ぁー!!キッド様ってばー!!」
雨が降る屋上では、園子が空中を歩くキッドに向かって叫んでいるが、キッドは園子の声には反応せずに、真っ直ぐ前を向いたまま美術館に向かって歩いて行ってしまう。
「無理無理!ヘリの音がこんなにうるさいのに、聞こえるわけねぇって!」
小五郎は、どんどん離れて行くキッドの背中を眺めながら呆れたように呟いた。
card.419
「あーん!!せっかくヘリコプターが向こうに行って、風に邪魔されずにキッド様の姿がよく見えるようになったのにー」
「あんなに離れてちゃねぇ…」
園子の悔しそうな言葉に、蘭が苦笑しながら頷く。
「…………。」
(風…?キッドの姿がよく見える…?)
名前は、そんな園子達の会話を聞きながらも、キッドの背中を見つめたまま考えを巡らせる。
「あ!」
そして、ふと名前は何かに気付いて小さく息をのむ。
(待って。もし、そうなら……確かさっき…)
そして、顎に手をあてて眉を寄せながら自分の記憶を思い起こす。
--彼奴の泣きっ面を全国放送じゃ!!--
「!!」
(そうか、そういう事だったのね!でも、もし私の考えがあっているとしたら……さっき新一がワゴン車に向かったって事は、快斗が……)
名前はギュッと手すりを掴む手に力を込めると、小さく息を吐く。
「名前?どうかした?」
そして突然キッドから視線を逸らすと、屋上の扉の方向に身体の向きを変える。そんな名前の動きに、蘭が不思議そうに首を傾げる。
「……私ちょっと…中森警部の所に行って来るわ」
「え?」
「名前、何か分かったの?」
「大した事じゃないんだけど…ちょっと、行ってくるから!」
---ダッ!!
「え?ちょっと名前!!」
「何が分かったんだ!?」
名前は自分を呼び止める小五郎や園子達の声を背中に聞きながらも、構わず屋上の入口へ向かって駆け出していく。
「行っちゃった…あんなに慌てて何が分かったのかしら?」
蘭達は扉の向こうに消えて行った名前を見送りながら、不思議そうに呟いた。
---タタタタ…
そんな中、名前は必死に階段を駆け降りる
(現場での快斗と新一の事には、私は口を出さない方が良いのかもしれないけど。快斗なら新一相手でも大丈夫だって、信じて待ってるべきなんだろうけど……)
「でも…やっぱり私は……」
名前は心の中で葛藤しながらも、結局は快斗を心配する気持ちが勝り、知らず知らずのうちに階段を駆け降りる速さが早まって行った。