「大海の奇跡」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
--キッド、キッド!!
「な、中森警部!!野次馬が次々と押し寄せて、とてもチェックしきれません!」
その頃、予告時間が近付いて来た事もあり、地上では警官達が押し寄せる野次馬達の対応に追われていた。
card.415
『どうやら…鈴木財閥が、キッドファン大歓迎というチラシを配っているようで…』
「チ、チラシだと!?」
中森は、無線から聞こえる部下の言葉に眉を寄せる。
『このままでは、暴動になるおそれが……』
「はぁ…。仕方ない!ノーチェックで通しても構わんぞ!!どーせ、奴は空から来るんだからな」
中森は、ため息をつきながら諦めたように部下に告げる。そして無線を置くと、チラリと大通りに目を向ける。
---ドドド…
そこには、この騒ぎの張本人である鈴木次郎吉がいつものハーレーに乗って、中森達の元に向かって来る姿が見える。
「くそっ!警察の警備態勢はメッチャクチャだ!あのお騒がせじーさんのおかげでな…」
小さく呟く中森を尻目に、マスコミがハーレーに乗る次郎吉を取り囲んでマイクを向ける。
「"大海の奇跡″の所有者の、鈴木財閥相談役の鈴木次郎吉さんですね!」
「いかにも!!」
次郎吉は、マスコミのカメラに向かって笑顔で頷く。
「予告の時間まで、あと1時間ですが……キッド対策は万全なんでしょうか?」
「ふん、昨夜はチンケなマジックショーがあったようじゃが…今夜はワシが皆さんにお観せしよう!!ハリウッド顔負けの大捕り物劇をな!」
「で、では…自信がおありで?」
「なんなら、捕まえたキッドを警察に引き渡す前にあんたんトコのTVに出演させてやっても良いぞー!」
『……彼奴の泣きっ面を全国放送じゃ!!ハーッハハ!』
「もう!おじ様ったら、やる気満々って感じね」
生中継されている次郎吉のインタビューを、ビルの屋上で名前や園子達もTV画面を通して見つめている。
「…………。」
「…………。」
名前とコナンは、画面に映る次郎吉の顔をジッと見つめている。
『……では、一旦CMです!』
「あー、早く来ないかしら!怪盗キッド様!」
園子はCMに入ったTV画面から目を離すと、待ちきれないというように頬を染める。
「でも、こんな騒音の中で会ってもねぇ。風だって凄いし……」
「…………。」
(……風?)
---ガタッ
コナンは、蘭の言葉にピクリと反応して突然椅子から立ち上がる。
「コナン君?」
「ちょっと僕、次郎吉おじさんの所に行って来るねー!!面白い事に気付いたから!」
「ちょっと…コナン君!?」
コナンは笑顔でそう言いながら、蘭達の制止の声も聞かずに駆け出していく。
「…………。」
(新一、トリックに気付いたのかしら…)
---俺はお前を必ず、"現行犯″で捕まえる。"怪盗″としてのオメーには容赦しねーぞ--
(新一は、そういう真っ直ぐな人だもんね)
名前は、走り去るコナンの後ろ姿を見つめながらぼんやり考える。
(快斗……頑張ってね)
そして、ゆるりと空を見上げて快斗の笑顔を思い浮かべた。