「大海の奇跡」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え……泊まるの?」
一向に帰る気配のない快斗にまだ時間は大丈夫なのかと尋ねた名前は、思いがけない返答に目を丸くした。
card.408
「…え、駄目だった?俺の服とかなら、一応何かあった時のために変装用に用意したやつがあるぜ」
快斗はというと、名前の反応が予想外だったようで意外そうに尋ねる。
「駄目ってわけじゃないけど、いつも遅くなっても帰ってたから。少し驚いただけ」
今まで名前の部屋には何度も来ている快斗だが、いつも日付が変わる頃になると「そろそろ帰るか…」と言って、自宅に帰っていたのだ。
「俺……今日さすがに疲れたしさ。名前ちゃんが、どーしても嫌って言うなら帰るけど?」
快斗はそう言いながら、わざとらしく名前に視線を向ける。
「嫌…じゃないわよ?……けど、泊まるってなると…その、」
名前は、意識しているのは自分だけなのかと不安に思いながらも、何となく言葉を濁す。
「名前ちゃん、なーに?」
「………快斗、分かっててやってるでしょ」
ニヤニヤと笑って首を傾げて見せる快斗に、名前はため息をつきながらジト目を向ける。
「ふ、はは!!悪い、悪い。わーってるよ!さすがの俺もこんな急には持ちかけねーし、オメーが嫌がるような事はしねーから。さすがに今日は疲れたから泊めて?」
「そんな……嫌がるって、別に私だって嫌なわけじゃないけど……」
主語はないものの、暗に"とある事"を匂わせて話す快斗に戸惑いつつも、名前は言葉を返す。
「はいはい。うぶな名前ちゃんも、俺は大好きだから心配しないで」
「…………。」
快斗の言葉に焦ったように弁解する名前に、快斗は楽しそうに笑いながら平然とそう告げるとグーっと身体を伸ばす。
「ま…明日の夜は、またキッドの仕事があっけど……日曜で休みだし、せっかくだから二人でゆっくりしようぜ!」
「………え?」
快斗が何気なく言った言葉に、名前が突然声をあげたため、快斗は目を見開いて名前を見つめる。
「何だよ、どうした?」
「快斗……今、何て?」
「……明日はキッドの仕事があるけど…」
「その後、」
「日曜で休みだしゆっくりしようぜ…?」
快斗の2度目のその言葉を聞いて、名前は思い切り眉を寄せながら、片手で目元を覆い隠して大きなため息をつく。
「あー、そういえば今日は土曜日だったわね…」
「ああ。今日は土曜日で、明日は日曜日だろ?どうしたんだよ……」
「………新一に、」
「何だ?」
(また名探偵かよ……)
「蘭達と一緒に帰らない理由を聞かれた時に、咄嗟の言い訳で明日の小テストの勉強を友達とするって言っちゃったのよ……」
「……あー、なるほど」
「蘭達は怪盗キッドの話で盛り上がってたから気づかなかったみたいだけど……新一、どうりで怖い顔してたわけだわ」
名前は前髪を掻き上げて苦笑しながら肩を落とす。
「ハハ…あの状況で、オメーが嘘ついて会いに行く相手なんて……俺だけか。それにしても、珍しいミスだな」
「そうねぇ。やっぱり新一とお互い気まずいせいか、うまく取り繕おうとして、余計なこと考えすぎちゃったのかも。あーあ、嘘までついちゃって…只でさえ今日もろくに話さなかったのに、明日会うの気まずいわ」
「…………。」
(おいおい……このままじゃ、こいつら明日も仲直りしねーんじゃ…?)
明日の事を考えながら多きなため息をつく名前を、快斗も困ったように見つめていた。