「大海の奇跡」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
快斗をしばらく見つめた後に、名前は小さくため息をついてから口を開く。
「……今日の快斗を…じゃないわね。今日の"怪盗キッド″を見た時にね、」
「うん?」
快斗は優しく名前の話しを促す。
「……今日のキッドを見てね、私凄くドキドキしたの。」
card.407
「それは……光栄だな?」
快斗は、ストレートな名前の言葉に僅かに狼狽しながら言葉を返す。
「その理由をね…考えてみたの」
「そりゃー、俺(キッド)がかっこ良いかったからだろ?」
「ふふ……快斗は、いつもかっこ良いじゃない。私は、普段から快斗や気になったに対してドキドキしていないわけじゃないのよ?ただ……今回は、いつもと違ったの」
「名前ちゃん……急に平然とそんな事言われたら、俺がドキドキしちゃうんだけど」
冗談で返したつもりが、名前から素直に言葉を返されて快斗は僅かに頬を染めながら目を丸くする。
「ふふふ……それでね、いろいろ思い返してみて分かったのよ」
「その理由が?」
名前は、小さく頷きながら言葉を続ける。
「ええ……私が今まで現場でキッドに会った時って、今日みたいなパフォーマンスはなかったじゃない?」
「あぁ……確かに。今日みてーのは久しぶりにやったな」
名前が今まで現場であったキッドは、予告状こそは出していたものの、今日のような一般人に向けたパフォーマンスはしていなかったのだ。
「だから……いつもと違うキッドの姿が、もの凄く素敵に見えたし……それに改めて実感したの」
「………何を?」
快斗は話の内容とは裏腹に、なぜか困ったように眉を寄せて話す名前に尋ねる。
「怪盗キッドの時の快斗は、みんなの物なんだなって事」
「?」
快斗は名前の言葉に意味が分からずに、不思議そうに首を傾げる。
「……キッドの観客に向けたパフォーマンスを見て、改めてキッドをかっこ良いな……って思ったのと同時に、今日の観客のみんなの反応とか歓声を間近で目の当たりにして……怪盗キッドは、みんなのキッドなんだなって実感されられた感じ」
「…………。」
「快斗は、この間"快斗は私の物だ″って言ってくれたけど……怪盗キッドの時の快斗は、何だか急に遠くの人みたいに感じちゃった」
名前は自分の気持ちを話しながら、少し恥ずかしそうに微笑む。
「……本当はさっき快斗に会った時も、すぐに"かっこ良かったよ、お疲れ様″ぐらい言いたかったんだけどね。くだらない事考えちゃったわ。……ごめんね」
「…………。」
快斗は、名前がそこまで言い終わると、ムクリと起き上がって名前をまじまじと見つめる。
「それって……つまり"嫉妬″だよね、名前ちゃん?」
そして、悪戯っ子のようにニヤリと笑って尋ねる。
「………分かってるくせに、わざわざ確認しないでよ。怪盗キッドを見に来た人たちに、こんな事を思うなんて…変な奴って思ってるんでしょ」
名前は、僅かに頬を染めながらジト目で快斗に言葉を返す。
そんな名前を、快斗は自分の腕の中に引き寄せて小さく息を吐く。
「そんな事思うかよ。むしろ、怪盗キッドの時の俺をちゃんと、"快斗"として認識して、そう思ってくれる事が嬉しい。………俺の名前ちゃんは、本当に可愛い」
名前の首元に顔を埋めて、何かを噛み締めるようにそう話す快斗。名前は、自分の感情を受け入れてもらえた事に安堵しながら快斗の背中に手をまわした。