「大海の奇跡」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「明日の夜が楽しみだわ!!早くキッド様に会いたーい!」
「やっぱり、今日みたいに空中を歩いて来るのかな?」
名前の前を博物館の出口に向かって歩きながら、楽しそうに話す園子と蘭。その会話を名前は口を挟まないものの、小さく微笑んで聞いている。
---ブー、ブー
「?」
(…こんな時間にメール?)
そんな時ふいにポケットの中で携帯が振動して、名前は首を傾げながら携帯を取り出した。
card.404
「おい、お前ら早く乗れ!帰るぞ!」
キャッキャッと盛り上がってに話す園子達に、一足先にレンタカーに乗り込んだ小五郎が呆れたように声をかける。車内に目をやれば、既にコナンも後部座席に乗り込んでいる。
「はーい!」
声をかけられた蘭達は小さく返事をして車に乗り込むが、名前はその後には続かずに窓の開いた運転席に近付く。
「ん?名前どうした?お前も早く乗れよ」
車に乗り込もうとはせずに運転席に近付いて来た名前に、小五郎は不思議そうに声をかける。
「おじさん、私は電車で帰るわ。私だけ江古田の方まで送ってもらうんじゃ悪いもの」
そんな小五郎に、名前は小さく微笑んでそう返すと小五郎は眉を寄せる。
「どうせ財閥のお嬢さんも送ってくんだ。1人増えたって変わりゃしねーよ。夜は危ねぇから、変な気使わないで乗れって」
「そうよ!!名前。私達と一緒に帰れば良いじゃない!」
小五郎の言葉に続いて、後部座席から園子も名前に声をかける。
「ありがとう。だけど、江古田の駅で友達と待ち合わせてるの。ここから駅も近いし、まだキッドを見に来た人達もいて人通りも多いから、心配しないで」
「そうかぁ?……まぁ、お前がそう言うなら、それでも良いが…」
「名前姉ちゃん…こんな時間に、友達と待ち合わせしてるの?」
名前の言葉に小五郎は納得したように頷くが、そんな小五郎の後ろからコナンが口調とは裏腹に鋭い視線で尋ねる。
「………明日小テストなのよ。その範囲の確認したいって、さっき連絡が来たの」
「…………。」
「そうなんだ。そっちの学校も大変ね…テスト頑張ってね」
「今日誘った私が言うのもアレだけど……アンタ、テスト前にこんな時間まで余裕ね」
納得がいかないような顔をするコナンを尻目に、名前の話に納得した蘭と園子の2人は、それぞれ思った事を口にする。
---ブロロロ…
そんな蘭と園子の言葉で話の区切りがついただろうと思った小五郎は、タイミングを見計らったかのようにエンジンをかける。
「ふふ、テストは適当に頑張るわ。みんな気をつけて帰ってね」
名前は、エンジンのかかった車を覗き込んむと微笑んで声をかける。
「……………。」
(……視線が痛いわね)
蘭達に声をかける自分の事を、コナンが後部座席からジッと見つめている事に気が付いたが、名前はあえて気付かないフリをしたまま笑顔で蘭達に手を振る。
「じゃあな、お前も気をつけて帰るんだぞ!!」
---ブロロロロ…
小五郎の一言を最後に、借りたレンタカーが低いエンジン音をたてながら走り去っていく。
「……………。」
名前は、走り去る車に小さく手を振りながらため息をつく。
「やっぱり、新一のああいう視線は苦手だわ……」
名前は、車を見送りながら自分を見つめるコナンの鋭い視線を思い出して小さく苦笑する。
「それにしても、こんなに一緒にいたのに…ほとんど新一と喋らないのなんて始めてかもね……」
今日1日コナンとは気まずい雰囲気のまま、ほとんど会話をしなかった事に小さくため息をつきながら、名前はくるりと踵を返して歩きはじめた。