「大海の奇跡」編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「だから言ったでしょ!?怪盗キッドを侮ると痛い目に遭うと!!」
鈴木財閥の博物館には、怒りに満ちた中森の言葉が響く。
「最初から警察のヘリを張り込ませておけば、こんな事には……」
その言葉を矛先には、中森の言葉にも一切動じていない次郎吉の姿があった。
card.401
「ならば、汝には予測出来たのかのぉ…中森警部?」
「………え?」
次郎吉が、中森の言葉を遮るように静かな声で尋ねる。
「彼奴が、中天を闊歩して来るという事が」
「そ、それは……」
中森は次郎吉の問いに困ったように口ごもる。そんな中森を尻目に、次郎吉は構わずに足を進めて行く。
「中森警部……今日の"あれ″は、さすがに誰も予想出来ないと思いますよ?」
次郎吉の言葉に小さく肩を落とす中森に、名前は苦笑しながら小声で声をかける。
「名前ちゃん……悪いね。心配かけて…自分の娘の友人にまで心配をかけて、俺は全く……」
しかし中森は、名前の言葉にますます肩を落として落ち込んでしまう。
「警部……」
(逆効果だったかしら。怪盗キッドは、快斗だから捕まえられちゃったら困るんだけど……いつもキッド一筋で、本当に頑張ってる中森警部を見ると、応援したくなっちゃうのよね…)
名前は自分の声かけが逆効果だったことに困ったように苦笑しながら、中森の隣を歩く。
「……それに、今日は下見。彼奴が予告したのは明日じゃ。彼奴のやり口が分かっただけでも善しとすればよかろう」
そんな中森達を尻目に、次郎吉は言葉を続けながら階段を上がる。
---ガチャ
「なーに、盗られやせんよ…」
そして突き当たりの部屋の扉をあけて、ゆるりと頭上を見上げながら小さく口元に笑みを浮かべる。
「ワシが世界中を駆け巡って、やっと手にいれた……あの"大海の奇跡″はな!」
「………え?」
「なんで、女神像が建物の中に?しかも、向きが逆さまだ」
次郎吉に続いて部屋に入ると、屋上に設置されているはずの女神像が何故か室内の天井に設置されている。
「「………。」」
小五郎達が不思議そうに声をあげるなか、名前とコナンは黙ったまま天井の女神像を見つめる。
---ピッ、
「こういう仕掛けじゃよ」
--ガガガガッ
そんな中、次郎吉がポケットから小型のリモコンを取り出して操作すると、室内に小さな機械音が響く。
「……あ、」
「なるほど……回転して、本物と偽物がすり変わるようになっているんですな!」
次郎吉がリモコンを操作すると、女神像が設置された土台が音を立てて回転し、外の土台に設置されていた女神像が室内に姿を現す。
「だけど、キッド相手にこんな小細工通じるかな?」
「はは…もちろん、これで彼奴の目を謀れるとは思っとらんよ!!」
仕掛けを見たコナンが戸惑いがちに意見すると、次郎吉は小さく笑いながら平然と告げる。
「だったら…明日は我々警察にすべて任せて、あんたんトコのヘリなんか飛ばさずに大人しく……」
「その逆じゃよ!!」
「………逆?」
諭すような中森の言葉を遮るように否定する次郎吉の言葉に、名前は不思議そうに首を傾げる。
「彼奴は明晩、同じ場所で会おうとほざいて消えうせた……」
「…………。」
--さて、前夜祭はここまで。明晩20時、再び同じ場所でお会いしましょう…--
次郎吉の言葉に、名前はキッドが消える直前の台詞を思い返す。
「ならば…待ち構えてくれようぞ!!この周辺一帯の建造物を全て貸し切り、今夜の何倍ものヘリと警備員を張り込ませてな!!!」
そんな中、次郎吉はギラギラと瞳を輝かせ自信満々にそう言い切ったのだった。