「大海の奇跡」編
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「さあ、今宵の前夜祭……我が肢体が繰り出す奇跡を……とくと御覧あれ…」
キッドはその言葉を言い終えると、ポケットに両手を入れたまま、スッと右足を1歩前に出した。
card.399
---コツ…
空中でキッドが1歩足を踏み出すと、何もないはずの空中から足音が響く。
「……え?」
屋上からその光景を見ていた中森は、思わず目を見開いて小さく声をあげる。
--コツ、コツ…
そんな中、キッドは口元に笑みを浮かべたまま、更に一歩一歩と前に歩みを進めていく。
「あ……歩いてる!」
「空中を歩いてる…!!」
ワゴン車でその光景を見ていた蘭と園子は、目を丸くして食い入るようにモニターを見つめている。
「…………。」
普段あまり表情を崩さない名前も、目を丸くして空中を歩く快斗の姿を見つめている。
(快斗……凄い)
名前は、思わず緩みそうになる口元を手で覆いながらも、ドキドキと胸が高鳴るのを感じる。
「……なるほど、歩いて盗りに来るとはこういう事か…」
「そんな事より教えてくれぬか…毛利探偵。天地の定めを蔑ろにする、この絡繰りを……」
小五郎と次郎吉は、そんな会話をしながらもモニターから視線を逸らせないまま、呆然と見つめている。
---ババババ…
『こちら3番機!!キッドは、現在潮留公園上空を、ほ…歩行中。……このままですと、1分足らずで鈴木大博物館に設置された……"大海の奇跡″の元へ…』
--ダダダダ!
「あの野郎…!!」
急いで屋上から降りてきた中森とコナンは、上空を歩くキッドの姿を人混みを掻き分けながら追い掛けている。
「相談役!!例の仕掛け、作動させた方がよろしいんでは!?」
ワゴン車の中では慌てたスタッフが、腕を組んで考え込む次郎吉に声をかける。
「…………。」
「相談役!!」
「止むを得んな……」
次郎吉が苦々しい表情で小さく頷くと、スタッフは仕掛けを作動させるための操作を始める。
「………。」
(仕掛けって何なのかしら…?)
名前が、その光景をジッと見つめていると、スタッフが1つのスイッチに手を伸ばす。
---カチッ、
----ガコッ!!
「!!」
(大海の奇跡……女神像が…!)
すると、屋上に設置された"大海の奇跡″が小さな機械音とともに回転したかと思うと、再び中から女神像が出てくる。
「…………ふっ、」
名前が見ていたその光景を、同じように空中から見ていたキッドは、小さく口元に笑みを浮かべる。
「…ん?」
そんな中、ふいに殺気を感じたキッドがチラリと地上に視線を向けると、自分を睨みながらキック力増強シューズの力を強めるコナンの姿を視界に捉える。
「…………。」
コナンの姿をしばらく見つめた後、キッドはスッとシルクハットに手を伸ばして再び口を開く。
「さて…前夜祭はここまで。明晩20時…再び同じ場所でお会いしましょう……」
---ポン!!
そして、野次馬達に向かってそう告げると、小さな破裂音と煙幕が空中を包む。
「き……消えた?」
「空中で……」
そして煙幕が晴れると、既にキッドの姿は跡形もなく消え去っている。
---バリバリバリ…
コナンは、キック力増強シューズを発動させたままの状態で、キッドが消えうせた空中を睨むように見つめていた。