「大海の奇跡」編
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「私が、黒羽快斗のことを好きだった……いえ、好きだからです」
名前の答えに、寺井は嬉しそうに優しく微笑んで口を開く。
「それなら大丈夫だと思いますよ」
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「え?」
寺井の言葉に、名前は不思議そうに首を傾げる。
「名前さんが、快斗ぼっちゃんのもう1つの姿を受け入れてくださった理由が、快斗ぼっちゃんへの好意によるものなら……」
「………。」
「快斗ぼっちゃんも、名前さんが例え何をぼっちゃんにお伝えしても、受け入れる事が出来ると思いますよ」
寺井の言葉に、名前は僅かに目を見開く。
「……快斗ぼっちゃんの"想い″は、私が保障致します。あとは、名前さんが話したいと感じた時に、お伝えすれば良いと思いますよ」
「………話したいと思った時に」
名前は、何かを考えるように寺井の言葉を小さく繰り返すと、寺井に真っ直ぐ視線を向ける。
「……寺井さんは、本当に快斗の事を大切に思っているんですね」
「ふふ……」
寺井は名前の言葉に小さく微笑む。
----タン、タン、タン
すると、タイミングを見計らったように2階からの足音が響いて来る。
「名前ちゃんお待たせ!!……っと、ジィちゃんと何か話してたのか?」
階段から降りて来た快斗は、カウンターを挟んで向かいあっている名前と寺井の姿を見て、小さく首を傾げる。
「ふふ、ちょっとね…」
「……ジィちゃん。名前に変な事言ってねーだろうな?」
「ほっほっほ……」
曖昧に返す名前の言葉に、快斗はジト目で寺井を見るが、当の寺井は楽しそうに笑うだけである。
「ったく。じゃぁ、ジィちゃん…これ、さっき言ってたヤツな」
快斗は小さくため息をつきながら、パサリと封筒のようなものを寺井に手渡す。
「…かしこまりました」
寺井はニッコリ笑って、快斗から封筒を受け取る。
「さて、名前ちゃん帰るか!」
「もう用事は良いの?」
「ああ、待たせて悪かったな」
名前は快斗の返事を聞きながら、鞄を手に立ち上がる。
「ふふ…大丈夫よ。寺井さんとお話出来て楽しかったから」
名前は、小さく寺井に向かって頭を下げると快斗の隣に並ぶ。
「ふぅん……?」
快斗は不思議そうに寺井と名前の顔を交互に見比べるが、寺井は相変わらず小さく微笑んでいるだけだった。
「ほっほっほ。また、ぜひいらしてくださいね」
そして、笑顔の寺井に見送られながら名前と快斗はブルーパロットを後にした。