導入編(オリジナル)

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名字
名前

「…家に花瓶なんてないから、これで我慢してよ」

丈の長いグラスに水を浸して、キッドからもらったピンクのバラの花束を活ける。名前はそれを見て小さく微笑みながら、ちょんっと花先に触れる。

(……どうして2度も新一に嘘ついてまで、あの怪盗を庇ったのかしら)

「彼が……快斗に見えるなんて、私もどうかしてるわよね」

名前は小さく呟いた後に、スッと荷物を持って立ち上がった。



card.39



「おはよう」

教室に入ると快斗や青子たちは既に学校に来ていて、教室内はワイワイと賑わっていた。


「おはよう!名前ちゃん!」

「おはよう、青子。何だか機嫌良いわね?どうしたの?」

いつになくニコニコしている青子を見て、名前は首を傾げながら声をかける。

「だぁって!あの怪盗が予告を取り下げたのよ!」

「……。」

(ああ…あの美術館ね)


怪盗キッドはあのとき話していた通りに、あの美術館の事件の翌日に予告を取り下げたのだ。

「…そうみたいね」

名前は青子の話を聞きながら机に荷物を置くと、さりげなく快斗の表情を確認するが、いつもと何も表情は変わらず林達と楽しそうに何やら話している。

(…例え快斗が怪盗キッドでも、キッドの話が出たからって今更動揺しないか)



「…名前どうした?座らねェの?」

いつまでも席に座らない名前に、快斗が林から名前に視線を向けて不思議そうに声をかける。

「ああ…私、今日日直だから。授業前に職員室行ってくるわ」

「そっか、大変だな」

名前は小さく微笑んだ後に教室を出ていく。快斗は何か考えながら、その姿をジッと見つめる。





「あれ、日直っていえば…快斗、お前も今日日直じゃなかったか?」


名前の後ろ姿を見つめていた快斗に向かって、林がふと思い出したように声をかける。

「えっ?俺も?」
ガタッと立ち上がり、快斗は驚いたように声をあげる。


「そうだよ…何日か前に武田が休んだから順番ずれるって言ってたじゃねーか。お前名前ちゃんに仕事押し付けるなよ~」

「やっべ!ちょっと行ってくる」

快斗はすっかり忘れていたのか、焦ったように駆け足で名前の後を追い教室から飛び出していった。
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