「大海の奇跡」編
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「お前らは…1度ならず2度までも、俺の授業をサボるとは…」
「「…………。」」
全ての授業が終わり、生徒指導室に呼び出された快斗と名前。二人は、窓から差し込む陽射しが淡い赤色に変わるまで、こってり中村にしぼられたのだった。
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「ったく…話長ぇんだよな~!中村ちゃんは」
「ま…短期間で2回も中村先生の授業サボっちゃったからね…仕方ないわよ」
ようやく解放された名前と快斗は、ため息をつきながら教室へと足を向ける。
---ガラッ
「…あ、名前ちゃんお帰りー!」
教室に戻ってきた名前達に、まだ帰っていなかったのか青子が声をかける。
「あれ…みんなまだ残ってたの?」
名前は、日が暮れ始めた教室に残るいつものメンバーの姿に首を傾げる。
「おお!お前ら、ようやく説教終わったんだな」
「俺らは…つい話こんじまってさ。どうせだから、お前らも一緒に帰ろうぜ!」
林と桜井は、快斗と名前の姿を見ると、ようやく話を切り上げて重い腰を上げる。
「名前ちゃん、今日の帰り一緒に青子の家の近くのお店で夕ごはん食べてかない?」
「恵子とちょっと前から約束してたんだけど、名前ちゃんもどうかなーって」
「私の親戚も来るんだけどね。良かったらどう?」
林と桜井に続いて立ち上がった青子と恵子は、名前に向かって笑顔で尋ねる。
「あら、良いわね。お言葉に甘えて私も……」
「駄目駄目!!名前は俺と約束があっから」
「…………え、」
青子達の誘いを受けようとした名前の言葉を遮り、快斗がサラリと告げる。
「おい……快斗。今、名前ちゃんOKしかけてたぞ」
そんな快斗に呆れたように林が呟く。
「……アホ子。今日の夕飯って、恵子の従兄弟とその友達が来るって言ってたやつだろ?」
「あ、うん。そうだけど…?」
快斗の言葉に、青子と恵子は不思議そうに頷く。
「従兄弟って言っても男だろー?他の男が来るような場所に、名前ちゃん行かせるわけねーだろ」
当たり前のように平然と告げる快斗の言葉に、名前は小さく目を見開く。
「お前、そんな束縛ばっかりしてっと…名前ちゃんに愛想尽かされるぜ?」
「そうよー、しつこい男は嫌われるって言ったでしょ!!」
「バーロー!名前ちゃんは、俺のなんだから当たり前だろ。それに、今日用事があるのは本当!」
「だって、名前ちゃん知らなかったみたいじゃない?」
「オメーらが待ってるなんて思わなかったから、帰りに言おうと思ってたんだよ」
「……青子、恵子ちゃんごめんね。また誘ってくれる?」
快斗と林達の会話を聞いていた名前は、諦めたようにため息をつきながら青子達に声をかける。
「ううん。今度は、また女の子だけで遊びに行こう?」
「さっ、帰ろーぜ」
マイペースな快斗は、さっさと鞄を持って教室から出ていこうとするため、名前達も苦笑しながら、快斗に続いて教室を出る。
「……………。」
(それにしても、用事があるってなんなのかしら?)
名前は、前を歩く快斗の背中を見ながら小さく首を傾げる。
--他の男が来るような場所に、名前ちゃん行かせるわけねーだろ--
--束縛ばっかりしてっと、名前ちゃんに愛想尽かされるぜ--
「…………。」
(誘ってくれた青子達には悪かったけど、快斗からされる束縛は、ちょっと嬉しかったりするのよね……本当は)
青子達と並んで廊下を歩く名前は、快斗の背中を見つめながら先程の会話を思い出す。そして、誘ってくれた青子達への申し訳なさを感じながらも小さく微笑んだ。