「大海の奇跡」編
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---ガラッ、
「あ、名前ちゃんおはよー!」
名前が教室に入ると、いち早く見つけた青子が笑顔で声をかける。
「青子、おはよ……」
「名前ちゃん!!名前!名前っ!」
---ガタガタ…
挨拶を返そうとする名前の言葉を遮り、快斗が教室の真ん中から名前の元に駆け寄って来る。
「な…何?いきなりどうしたのよ」
「良いから!!ちょっと来てっ!」
「え、何なのよ?」
戸惑う名前を尻目に、快斗は名前の手を掴むと教室から飛び出して行った。
card.385
---バタンッ!
「ちょっと快斗?どうしたのよ」
グイグイと手を引かれて、屋上に連れて来られた名前。
穏やかな陽射しに照らされた屋上の一角に快斗に促されて腰を下ろした名前は、隣に座る快斗に声をかけながら首を傾げる。
「これ!!これ見て!」
--バサッ
「新聞?」
名前は快斗に手渡された新聞に首を傾げながら覗き込むと、小さく目を見開く。
「な……何、これ?」
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怪盗キッドに告ぐ!!
貴殿が所望する
ビッグジュエル
「大海の奇跡」を
潮留に在する我が
大博物館の
屋上に設置した。
手中に収めたくば
取りに来られたし…
鈴木財閥相談役
鈴木次郎吉
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「……これ、今日の朝刊?」
名前は読み終えた朝刊をパサリとひっくり返して、日付を確認しながら尋ねる。
「ああ…鈴木財閥って、オメーのお友達の家だろ?」
「ええ。でも相談役の次郎吉さん…なんて…初めて聞いたわね」
(それにしても……朝刊の見開きを使うなんて、さすが鈴木財閥)
---バサッ!
「でさっ!!どんな返事を返したら驚くと思う!?」
名前が何となくペラペラとめくりながら見つめていた新聞を取り上げると、快斗は名前の身体を自分の方にくるんと向けて笑顔で尋ねる。
「………え?」
「だってさーっ!!こんな風に宣戦布告されるの初めてだし?俺、朝これ見た時…久々に興奮しちまったよ!!ここまでされたら、普通に盗むだけじゃつまんねーじゃん?何か、あっ!?と驚かせる方法を考えねーと!」
「…………はあ?」
楽しそうに喋る快斗に、名前は珍しく目を真ん丸くする。
「快斗?」
「んー?」
「まさか、快斗…この挑戦受ける気なの?」
「当たり前じゃん!これを受けなきゃ男が廃る!」
「………はぁ」
当然のように答える快斗に、名前は小さくため息をつく。
「こんな……罠があるって分かり切ってるところに、わざわざ自分から行くなんて」
名前は、心配気に眉をよせて呟く。
「大丈夫、大丈夫!!素人相手に負けねーから!」
「でも…園子の関係者って事は、確実に新一も……」
---グイ、
心配そうな表情をする名前を、快斗はグイッと自分の腕の中に閉じ込める。
「………快斗?」
「大丈夫だって!!名探偵相手だって…俺、負けねぇからさ」
快斗は腕の中の名前に耳元で優しく告げる。
「………。」
「名前も楽しみにしてろよ?俺の活躍!!どうせ、いつもの様に当日はあの子達に名前も現場に誘われるだろうしさ」
「………。」
「名前ちゃん?俺の事信じられないのー?」
快斗は黙りこんだ名前の顔をジッと覗きこむ。名前はしばらく考えるように視線をさ迷わせた後に、ゆっくりと快斗に視線を合わせる。
「………当日、」
「うん?」
「犯行が終わった後に…"無事に私の部屋″に帰って来るって約束よ?」
名前は諦めたように息をつくと、快斗を見上げながら小さく微笑んで尋ねる。
「………っ!」
「快斗?ちゃんと分かっ……っん」
何も答えない快斗の答えを急かすように首を傾げる名前に、快斗は突然顔をよせて唇に優しくキスを落とす。
「……っ、」
右手で名前の髪を撫でながら、
左腕を背中にまわしぎゅうっと抱き締めると、何度か角度を変えて口づけを交わす。
快斗の唇がゆっくり離れると、名前は呼吸を整えようと小さく息を吐く。
「ハァ…ちょっと……快斗?」
「……名前ちゃんの、その可愛さは、本当…反則だと思うわ、俺」
「何よ、突然…」
「いや、本当に。俄然やる気出たから!!当日楽しみにしてて!」
突然の行為に頬を染める名前を、さらに抱きしめる力を強くして快斗はそう宣言した。