「ベイカー街の亡霊」編
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「お前の事を、調べようとしてる奴がいる」
「それ…どういう意味ですか?三船さん」
快斗は三船の言葉の意味が分からずに、眉を寄せて尋ねた。
card.379
「だーから、お前の正体だよ!!……ん?お前の正体って言い方だとお前が偽物みたいか。つまり、怪盗キッ……」
「ちょ、ちょっと!!待ってくださいよ、三船さん!」
小声ではあるが、アッサリと"怪盗キッド″の名を口にしようとする三船を、快斗は慌てて制止する。
「だいたい……俺は、ただの高校生ですよ?何を言いたいのか分かりませんが、正体も何もないですよ……」
(……ったく、この人の中で完全に怪盗キッドは俺って事になってるんだな)
快斗は心の中で小さくため息をつきながらも、とりあえず誤魔化すためにいかにも自然な表情で首を傾げて見せる。
「お前は馬鹿かよ?あの船上パーティーの後すぐに名前が付き合った相手って時点で、違うわけねーだろ」
「…………。」
「とにかく!俺は、お前とそんな話をするために2人になったんじゃねーの。話を戻すぞ」
「…………はぁ」
快斗は三船のペースにつれられて、諦めたように小さく頷く。
「ほら、あそこ見てみろ」
三船がチラリと目だけで示した方向に快斗が視線を向けると、ある人物が目に入る。
「あれは……」
「推理作家の工藤優作先生だ。お前も知ってるだろ?」
「まぁ……一応」
快斗は曖昧に頷きながら、優作をジッと見つめる。優作は、コナンと向かい合って何かを話しているところだった。
「……お前らがゲームの世界にいる間に、俺は工藤先生と少し話したんだよ」
「……え?」
快斗は、優作と三船という意外な組み合わせに僅かに目を見開く。
「俺が名前と快斗の知り合いだって知ると、あの人が俺に聞いてきたんだ」
「………何を?」
快斗の問いに、三船はジッと快斗の顔を見つめたあと口を開く。
「"黒羽快斗″という少年は、どういう人物なのか…教えてもらいたい。…ってな」
「!!」
「何でも、名前の親代わりだから娘のボーイフレンドに興味があ…るとか言ってたが…あの時の雰囲気は、それだけじゃなかったんだよな…」
三船は、優作をチラリ見ながら眉を寄せて呟く。
「…………。」
(やっぱり、あの人…俺の親父と何かあるのか?)
快斗は、ゲームが始まる前に少し話した優作との会話を思い返しながら、顎に手を当てて考え込む。
---ポンッ
「そんな難しい顔すんな。一応、お前の耳にも入れておこうと思っただけだ。お前らなら大丈夫だと思う…が気をつけろよ」
三船は考え込んでいる快斗の頭を叩くと、小さく笑う。
「…………。」
快斗は何と返せば良いのか分からず、黙ったまま三船を見つめる。
「さ……言いたい事も言ったし、俺はそろそろ戻るぞ」
一方、三船は言いたい事が言えて満足したのか表情を緩めると小さく伸びをする。
「え……名前の事、待ってなくて良いんですか?」
「んー?別に良いよ。お前らが無事にクリアしただけで満足だから」
「…………。」
「じゃーな、また会おうぜ」
三船は、アッサリそう告げるとヒラヒラと手を振りながら快斗の元を離れていく。
「……………。」
--黒羽快斗という少年が、どういう人物なのか教えてもらいたい--
快斗は去っていく三船の背中を見つめながら、優作の言葉を思い出す。
「本当……厄介な親子だな」
そして小さな身体の好敵手を思い出して、肩をすくめて小さくため息をついた。