「ベイカー街の亡霊」編
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「名前っ……」
現実世界では快斗が名前が眠るコクーンを不安気に見つめていたが、ふと何かを思いついたように勢いよく振り返る。
「おいっ!!博士っ!!」
「えっ……ワシ?」
突然思いがけない相手に呼ばれた阿笠は、驚いて目を見開く。
「俺を、もう1回ゲームの世界に行かせろっ!!」
「なっ…!?」
「馬鹿!!黒羽…オメーは、少し落ち着けって!」
コナンは自分自身も名前の心配はしているものの、動揺する快斗を何とか宥めようと声をかける。
「バーロー!!こんな状況で落ち着いていられるかっ!」
「と、とにかく…ワシはモニタールームに戻って、コクーンの設定の確認を…」
阿笠は快斗の剣幕に戸惑いながらも、モニタールームに戻ろうとする。
「いや、その必要はないと思いますよ」
しかし慌てている阿笠を隣にいた優作が、穏やかな口調でさらりと制止する。
「……え?」
「その必要ないって…」
コナンや阿笠達は、優作の言葉に首を傾げるが優作は真っ直ぐ快斗を見つめる。
「黒羽君…だったね。後ろを見てごらん?」
card.376
「………え?」
---ウィィーン…
快斗が優作の言葉に目を丸くしたのと同じタイミングで、快斗の背後から小さな機械音が聞こえる。
「!?」
その音にピクリと反応した快斗は、勢い良く振り返る。
---ウィィーン!!
「名前っ!!」
快斗が振り返るのと同時に、名前が眠るコクーンがゆっくりと開いていく。
「……ん、か……いと?」
「名前ちゃんっ!!」
----ガバッ!
「…っわ!?快斗?どうしたのよ…急に」
そして、ゆるりと目を開けた名前を見て、快斗はパッと笑顔になって名前を抱きしめる。
「快斗…?」
「………。」
「ちょっと……快斗、苦しい…」
「…………。」
「…………快斗?」
「……オメーは、どんだけ俺に心配かければ気がすむんだっ!!」
そして名前の身体をしばらく抱きしめた快斗は、名前の顔をジッと見つめて口を開く。
「ごめん…なさい。とにかく、今は恥ずかしいから……ね?」
名前は快斗に謝りながらも、軽く身じろいで快斗の腕から離れる。
「いーや!!俺を残して、あんな野郎と飛び降りるなんて許せないね!」
快斗は大げさに首を振って不満気に呟く。
「あの状況じゃ仕方ないでしょ?快斗だったら、どうしたのよ?」
「そりゃー名前ちゃんの為なら、火の中にだって飛びこむさ!」
「……だったら、」
名前は快斗の答えを聞いて反論しようとするが、すぐに快斗に遮られる。
「ダメダメ!!俺と名前ちゃんじゃ、話が違うの!」
「………え?」
「名前ちゃんは、何があっても俺のそばにいろって事!!」
「……………。」
(そんな無茶な……)
名前は快斗の言葉に苦笑しながらも小さく微笑むと、そっと快斗の頬に触れる。
「快斗の事、信じてたけど……やっぱりバーチャルじゃない生身の快斗に会えて嬉しいわ」
「!!…ったく、目の前で飛び降りられた方の身にもなれよ…」
快斗は僅かに赤く染まった頬を隠すように、ワシャワシャと名前の頭を撫でる。
「……私を生き返らせてくれてありがとう」
「ま、俺に出来ない事はないからな!!それも、名前ちゃん絡みなら……余計にな」
「ふふ、本当にありがとう」
自慢気に笑う快斗に、名前はクスクスと笑いながら言葉を返す。
「……ったく、付き合ってられねーよ」
快斗のそばで眠り続ける名前を心配していたコナンは、2人が言い合いを始めた辺りで呆れたように2人のそばを離れていた。
「…………。」
(ったく、あいつは真剣だったり…ふざけてたり……本当わけわかんねぇ)
真剣な時と、普段ふざけている時の快斗のギャップに振り回されているコナンは、頭を掻きながらため息をつく。
「…………ん?」
頭を掻きながら進んでいたコナンは、ふと自分に近付いて来る人影に気がついて歩みを止める。
「………………。」
「………………。」
(父さん……)
コナンの元に向かって来るのは、小さく微笑みを浮かべた優作だった。
「…………。」
コナンはその場に立ち止まったまま、自分に近付いて来る優作を真っ直ぐ見つめていた。