「ベイカー街の亡霊」編
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「………ん、私…ゲームオーバーになったはずじゃ?」
目を覚ました名前は、まだゲームの世界にいる事に首を傾げながら辺りを見渡す。
「ここは……最初に集められた広場ね」
名前が目を覚ました場所は、快斗達がヒロキと話した広場だった。
card.374
「……やっと起きたか」
「え?」
ふいに後ろから声が聞こえて振り返ると、そこには呆れたような顔をしている諸星の姿。
「……諸星君?」
「ゲームは無事に快斗達がクリアしたぜ?あいつらの勝ちだったな」
「そう……」
名前はゲームのクリアを知って小さく安堵するが、何となく諸星の言葉が引っ掛かり諸星の顔を見つめる。
「おい、何だよ?人の顔をジロジロ見て…」
諸星は訝し気に尋ねるが、名前は眉を寄せる諸星を見つめながら1つの可能性が思い当たり戸惑いがちに口を開く。
「あなた……諸星君、じゃないわね?」
名前がそう尋ねると、諸星は一瞬目を見開くが小さく肩をすくめて微笑む。
「工藤君だけじゃなく…」
---ジジジジ…
「名前さんにも見破られていたなんてね」
諸星が微笑みながら呟いた言葉の途中で、諸星の身体はノイズに包まれ声色と姿が変わる。名前は、その変化に僅かに目を見開く。
「…君は、ヒロキ君かしら?」
("工藤君″って……新一とも、この話をしたのかしら?)
「そうです……正確には、僕はノアズ・アークだけどね。どうして分かったんです?」
「……ゲームの最中で、諸星君の言動に違和感を感じてはいたの。でも…その話はもう、コナン君達と話したんでしょ?」
「ええ。ゲームをクリアした後、ここでね。もちろん黒羽君も一緒に」
「そう……それで、どうして私だけここに?」
(ヒロキ君って、どこまで知ってるのかしら)
今のタイミングでわざわざ快斗の名前を出すヒロキを見つめながら、名前は尋ねる。
「実は、あなたと少し話しをしてみたくて……付き合ってもらえませんか?」
名前はヒロキの思いがけない返事に小さく目を見開くが、フッと優しく微笑んで自分の横をポンポンと叩いて座るように促す。
「それなら、敬語はいらないわ。さっきまでゲームの最中に話していたみたいに、普通に話してくれて良いのよ」
そしてヒロキに向かって微笑みながら告げた。
ヒロキが自分の隣に座ると、名前は思いついたようにヒロキに向かって口を開く。
「………ね、私から先に質問させてもらっても良いかな?」
「何?」
名前の隣に座ったヒロキは、名前の言葉に首を傾げる。
「ヒロキ君は、諸星君のデータを借りて最初から私達と一緒にこのゲームに参加していたのよね?」
「うん」
「……って事は、ゲームの中の諸星君の言動は…全てヒロキ君の言動だったのかしら?」
「……え?」
「目を覚ました諸星君は、ゲームの事を何も覚えていないの?」
「………。」
ヒロキは名前の顔をしばらく見つめた後に、小さく笑って口を開く。
「いや、ゲーム中の諸星君と僕は……融合していたと言えば良いのかな?諸星君の行動は、僕の意志でもあり……彼の意志でもあった。僕は、こう見えて根は割と荒っぽい性格でね。そういう面では、彼とうまく同調出来たのかもしれない。だから、彼は自分がゲームの中で話した言葉も、自分の言動も全て覚えているよ」
「そう……」
名前は、ヒロキの言葉に小さく安堵する。
「でも、どうして?」
そんな名前の態度に、ヒロキは不思議そうに小さく首を傾げる。
「……君が言う、"日本のリセット″」
「!!」
「ヒロキ君の狙い通り、彼等はゲームを通して、凄く良い方に変わったと思うの」
「………そうだね」
「諸星君も同じよ。彼の…あの変化が彼自身のものではなかったとしたら…残念だったから」
名前の言葉に、ヒロキは小さく目を見開いた後、名前を真っ直ぐ見つめたまま戸惑いがちに口を開く。
「……"名前″は、本当に優しい人だね」
「ふふ……そうでもないんだけどね」
ヒロキの姿で照れ臭そうに自分の名前を呼ぶヒロキに優しく微笑みながら、名前は肩をすくめた。