「ベイカー街の亡霊」編
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「良いか?俺が合図したら潜るんだ!」
「お…おう、」
「頼むぜ……名探偵」
---ゴォォォ!!
「今だっ!!」
---ゴォォォ!!
--ドガガガガガッ!!!
-----
---
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現実世界の会場では、自分達の子供の命がかかったコナン達のゲームクリアを願って、縋るような思いでゲーム世界の声を聞いている。
---ザワザワ…
「おい……どうなったんだ?」
「あの子達の声が聞こえなくなったぞ!?」
しかしコナンの合図を最後に、コナン達の声は途切れる。そして列車が駅へと突っ込む凄まじい轟音が会場を包んだ後、ピタリとゲームの世界からの音が途絶え、会場の人間達は不安気に辺りを見渡した。
card.371
「……………。」
ゲームの世界からの音が途絶え、僅かなざわめきが起こった会場だが自然と再び沈黙が訪れる。会場の人間達はステージ上に残った3つのコクーンをジッと見つめている。
「………快斗、頼む…」
会場でゲームの行方を見守っていた三船は、拳を強く握りしめて快斗の眠るコクーンを見つめる。
---バッ!!
「……2人の声は!?」
「まだ何も聞こえて来んよ…」
モニタールームにいた阿笠や優作達も、不安気な表情で静まり返った会場に駆け込んで来る。
「コナンの大明神様!!……どうか、名前達を…!」
小五郎は、ゲームオーバーとなった名前達の事を思い浮かべながら小さな声で呟いた。
「うぅ……」
コナンが、軽いうめき声とともにゆるりと目を開ける。
「ここは……ゲームの最初に子供達が集められた広場か?」
コナンはむくりと起き上がると、辺りを見渡して小さく呟く。コナンが目を覚ました場所は、ゲームが始まった時にゲームやステージの説明を全員で聞いた広場だった。
「……よぉ…名探偵。……みんな、無事だったみたいだな」
そんなコナンの後ろで、同じく目を覚ました快斗がゆっくり起き上がりながら、自分の隣で未だに眠っている諸星の姿を確認すると、安心したのか小さく笑う。
「ああ…ホームズが言ってた"血まみれ″は、赤ワインでショックを和らげろっていう意味だったんだな……」
「…まさに、血まみれだな」
快斗は、赤ワインで真っ赤に染まったシャツをチラリと見ながら苦笑する。
「ああ……咄嗟の行動だったが、うまくいって良かったよ」
「まぁな……確かに、あの時は半信半疑だったが。俺は、名前ちゃんを1人にして死ぬわけにもいかねーからな。……さて、そろそろ諸星も起こすか」
「!!」
肩をすくめてサラリと呟いた快斗の言葉に小さく目を見開いたコナンは、僅かに視線をさ迷わせた後に口を開く。
「………黒羽」
快斗は諸星を起こそうと、自分の隣で横になって眠り続けている諸星の身体に手を伸ばしていたが、コナンに低い声で名前を呼ばれてピタリと伸ばしかけた手を止める。
「……何だ?」
「悪かったな……」
「ははっ…何だよ?改まって」
神妙な面持ちで自分を見るコナンの表情に、快斗は小さく苦笑する。
「……俺は、あの時…」
「ま、名探偵も人間だしな。諦める事もあれば……行き詰まる事だってあるだろ。あの時は、俺も頭に血が上ってたんだ……悪かったよ」
「オメー…」
コナンの言いたい事を察して、その言葉を遮るように自分から謝る快斗。そんな快斗に、コナンは小さく目を見開いて何かを言いかけるが、快斗はそれ以上今の話題で会話をするつもりはないようで、くるりと再び諸星に視線を移す。
「おい!諸星…いつまで寝てんだ?起きろっ!」
そして諸星の身体を、ユサユサと揺すりながら快斗が声をかける。
「…………。」
(………こいつ、いつもふざけてる癖に…こういう時は厄介だな)
コナンは、諸星に声をかける快斗を見つめながら小さくため息をつく。自分が謝るべき場面で、快斗に先を越されてしまったコナンは後味が悪そうに頭をガシガシと掻く。
「…………ん、」
「お!起きたか?」
そんな中、諸星が快斗の呼び掛けに反応してゆるりと目を開ける。
「ん……あぁ、メガネも快斗も起きてたのか。どうやら、お前らの勝ちのようだな…」
そして起き上がった諸星は、快斗とコナンの姿を見て笑顔でそう呟いた。