「ベイカー街の亡霊」編
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「名前ーっ!!!」
---ガンッ!!
快斗は名前が消えて行った谷底を覗きこみ、名前の名前を大声で叫びながら左手で列車の屋根を悔しげに殴りつける。
---ゴォォォォォ!
しかし依然としてスピードを上げながら走り続ける列車の上では、荒々しく吹き付ける風の音と列車の音に快斗の声は虚しく掻き消されていった。
card.368
「お、おい…メガネ…大丈夫かよ?」
「……くそっ!!黒羽、ちょっと手貸せ!!黒羽!」
コナンは、諸星の手を離さないように必死に握りながら、手を貸すようにとうずくまって下を向く快斗に大声で怒鳴る。
「……………。」
しかし快斗はうなだれたように下を向いていて、コナンからは快斗の表情は見えない。
「おいっ!黒羽っ!?」
「…………。」
「黒羽っ、おいっ!!」
「………。」
--快斗…信じてるから--
「!!」
(名前…?)
コナンの声を背中に聞きながら、力が抜けたように下を向いていた快斗は、ふいに名前の声が響いた気がして、ゆるりと空に視線を向ける。
「…………。」
(名前……)
そして何かを決意したように小さく息をつくと、無言のまま立ち上がってコナン達の元へ近付いていく。
---グイッ!
「………大丈夫か?」
そして右手を伸ばして諸星を引き上げると、今までとは違う力強い表情のまま尋ねる。
「あ……あぁ」
諸星は戸惑いながらも言葉を返すと、快斗は小さく頷いてから口を開く。
「まずは、この列車を止めねぇとな…」
(こうなったら、あいつを助けるにはゲームをクリアするしかねーんだ…)
名前を目の前で失った衝撃はまだ消えていないが、名前にもう1度会うためには何としてもゲームをクリアするしかない…と、快斗は必死に身体を奮い立たせる。
---ゴォォォォォ!
「…………。」
そんな中、諸星は黙りこんで下を向いてしまっているコナンを見て、不審そうに眉を寄せる。
「お…おい?メガネ…列車止めねーと。俺達が生き残らなきゃ、ゲームに勝ったとは言えないんじゃねーのかよ?」
諸星は戸惑いがちにコナンに声をかけるが、コナンは下を向いたまま何の返事も返さない。
「おいっ、メガネ!?」
諸星は、何の返事もしないコナンの肩を掴んで大声で呼び掛ける。
「分かってる!!……分かってるが、もう手がねぇんだ…」
「なっ…!?」
しかしコナンはゆっくりと顔をあげると、悔しげにそう吐き捨てる。
「おい……名探偵、オメー諦めるつもりかよ!?」
そんなコナンの言葉に動揺する諸星を尻目に、快斗は顔を歪ませてコナンの胸倉を掴む。
「ここまで来て手がねぇーってなんだよ!?…列車のブレーキだって、あの時壊されてるのを見ただけで試してねーじゃねーか!?それに、列車の一番後方に行けば多少衝撃も………」
「バーロー!!」
そして胸倉を掴んだままコナンに向かって大声で怒鳴るが、コナンはそれを遮るように大声をあげる。
「俺だって…諦めたかねぇよ!!」
「だったら……」
「考えてみろ。列車は、どんどんスピードを上げている。列車の速度は約100キロ…終着駅までは後5分足らずだ……」
「………。」
「オメーが今言った方法も、確かに可能性はあるが……この状況で一番確実なのは、機関車と客車の連結部分を切り離すしかねぇんだ…」
「!!」
快斗はその言葉に小さく息をのむと、自分の左腕にチラリと視線を向ける。
「……俺と諸星の力じゃ、あの連結部分はビクともしねぇ。黒羽…オメーの左腕は、とても力も入らねぇだろ?」
「………。」
「名前がいれば……名前と俺達3人で、どうにか出来る計算だったのによ……」
コナンは、そこまで言うと力の抜けたようにその場にへたり込んでしまう。
「………名探偵」
「だから、ノアズ・アークの奴…乗客を全て消しやがったんだ。駄目だ……もう打つ手がねぇ……」
「!!」
コナンは悔しげに視線を上に向ける。
(もう駄目だよ……父さん)
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「おいおい!!コナン!諦めるな…!」
「……くそっ、何か手はないのか!」
モニタールームでは、小五郎と目暮達が不安気に眉を寄せて、モニターを見つめる。
「…………。」
(新一………)
優作は真剣な表情で、モニターに映るコナンの顔を見つめていた。