「ベイカー街の亡霊」編
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「くそっ……」
コナンは諸星の手を掴んだまま、切り裂きジャックに首を絞められている快斗に目を向ける。
「メ…メガネ!俺を離して快斗の方を……」
「バーロー!!そんな事出来るわけねーだろ!?」
「でも、このままじゃ…」
「…ライヘンバッハの滝よ!快斗!!」
何とか快斗を助けようと言い合いをするコナン達の言葉を遮るように、コナンの背後から突然大声が響いた。
card.367
「…ライヘンバッハの滝よ!快斗!!」
「……え?」
「何っ!?」
短剣を振り上げた切り裂きジャックは、突然響いたその言葉に短剣を持つ手をピタリと止めて振り返る。
「!?」
そこには、ロープに縛られたまま立ち上がっている名前の姿。
「……名前、オメー…」
コナンは諸星の手を掴んだまま首だけ後ろを振り返り、名前の姿を見て眉を寄せる。
--……君を確実に破滅させる事が出来れば、公共の利益のために僕は喜んで死を受け入れよう--
「"ライヘンバッハ"って……まさか!!」
快斗はふいに宿泊所で聞いた言葉が頭に甦り、名前の行動と言葉の意図が分かったのか、小さく息をのんで声を張り上げる。
「名前っ!!やめろっ!!名前っ!」
「………。」
快斗は必死に名前に呼び掛けるが、名前は小さく微笑む。
(ごめんね、快斗。最後までそばにいられなくて…)
「…これが、あの時の答えだよ。快斗」
「!?」
--……だけど、それくらい大事なものなら私にも…--
--私にも……何?--
--……秘密--
--何だよ…教えろよ!--
--ひーみーつ!--
--何それ?ちょー気になるんだけど--
「………名前」
快斗の脳裏には、悪戯っ子のような笑顔で笑う名前の表情が思い浮かぶ。
---スッ…
快斗が名前の言葉に戸惑っている中、名前はくるりと身体の向きを変える。
「名前っ、やめろっ!!頼む……やめてくれ!名前っ!!」
「くそーっ!!」
名前の行動の意味が分かったのか、切り裂きジャックは急いで自分の腰に巻かれたロープを手に取り、短剣で切断しようとする。
--バッ!!!
「!?」
「名前ーっ!!」
しかし、それより早く名前は目を閉じたまま列車の屋根から谷底に向かって飛び降りる。
---シュルルル…
そして名前が飛び降りた事で、切り裂きジャックの腰に結ばれたロープが勢い良く谷底へ引っ張られていく。
「くそっ、……ぐわっ!!」
----グイッ!!!
「うわあああぁっ!!!」
切り裂きジャックは、必死にロープを切断しようとしたが間に合わずに、名前の身体と共に谷底へと引きずり込まれていく。
---ゴォォォ…
名前の身体は谷底へと落下しながら、まばゆい光に包まれていく。
「………快斗…」
名前は、ゆるり目を閉じて小さく微笑む。
「…………信じてるから」
そしてその言葉と共に、名前の身体は光と共に消えて行った。