「ベイカー街の亡霊」編
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---ゴォォォ!!
「お前の望みは何だっ!?切り裂きジャック!」
切り裂きジャックを睨みながら、コナンは電車の音に負けないような大声で尋ねる。
「望みだと?」
「母親を殺害して…長年の恨みを果たした今、何を望む!?」
コナンの問いに、切り裂きジャックは口元を歪ませて笑う。
「生き続ける事だ!!俺に流れている凶悪な血を、ノアの方舟に乗せて…次の世代へとな!!ハーッハハ!」
card.364
『……ハーッハハ!!』
現実世界の静まり返ったモニタールームには、モニター越しに切り裂きジャックの笑い声が響く。
「…これが樫村殺害の動機ですね?」
「………。」
静かに尋ねる優作の言葉に、シンドラーは小さく息をのむ。
「……切り裂きジャックの血は、まるでノアの方舟に乗せられたかのように現代まで生き続けた」
「……え?」
優作の言葉に目暮達は小さく首を傾げるが、優作は構わずに言葉を続ける。
「あなたは、切り裂きジャックの子孫ですね?」
「!!」
「切り裂きジャックの……」
「子孫…!?」
目暮と白鳥は、優作の言葉に目を見開く。
「……恐らく、ヒロキ君はDNA探査プログラムでそれを知った」
優作は黙り込むシンドラー向けて、更に冷静に言葉を続ける。
「IT産業界の帝王が、百年前の連続殺人鬼の子孫などと知られたら身の破滅。だから口封じのために、ヒロキ君を自殺に追い込み…更に樫村を殺害した」
「ーっ!」
シンドラーは全てを見ていたかのように言い当てる優作の言葉に息を飲んだあとに、何かを考えるように視線をさ迷わせる。
「「…………。」」
そんなシンドラーの姿を、小五郎達は黙ったまま見守っている。
「…………。」
そして、シンドラーは諦めたかのよう肩を落とすと小さく息をついてから口を開く。
「……あれは、ヒロキが私のコレクションを見に来た時だ」
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「これは、エジプトのクフ王が使ったとされる黄金の杯。次が鑑真和尚の経典だ」
「へぇ……」
ヒロキは無数に展示されたシンドラーのコレクションを、シンドラーの説明を聞きながら見て回っている。
「そして江戸川乱歩の心理試験の自筆原稿…」
「すごいんだね!この短剣は?」
ヒロキは、ふと1つの短剣が目に止まる。
「ん?あぁ、いや…それは……百年前の連続殺人鬼、切り裂きジャックの凶器だそうだ。本当かどうか分かったもんじゃないがな…」
「ふぅーん」
戸惑いながらも曖昧に告げるシンドラーだったが、皮肉にもヒロキは短剣に興味津々で、硝子に顔を寄せてジッとと短剣を見つめていた。
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過去のヒロキとの会話を思い返しながら、憔悴した表情でポツポツと語る。
「ヒロキは、実験のために身の回りで集められるだけのデータを集めて、コンピューターに入力したんだ」
「短剣から検出された、ハニー・チャールストンのDNAが…あなたのDNAに一致した」
「………。」
優作の言葉に、シンドラーは小さく頷く。
「あなたは恐れた。いつか、ヒロキ君が切り裂きジャックはハニーの息子だと知ることを。あなたの事を、切り裂きジャックの末裔だと分かるのは時間の問題だと……」
そこまで聞くと、シンドラーと頭を抱えて口を開く。
「……私は怖かったんだ!!先祖に殺人者がいることが、分かってしまう事が!!」
シンドラーのその言葉に、優作はキッと眉を寄せる。
「何を言ってるんですか!?世間の目がなんです!どうして戦おうとしなかったんです?今のコナン君達のように…」
「…………。」
シンドラーは、頭を抱えたまま黙り込む。
「……トマス・シンドラー」
優作の言葉を背中に聞きながら、白鳥がシンドラーに近付いていく。
「樫村忠彬さん殺害容疑で逮捕する!」
---ガチッ、
静まり返ったモニタールームには、シンドラーの手に手錠がかかる音が冷たく響いた。