「ベイカー街の亡霊」編
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「1人目の犠牲者に無関係な女性を選んだのは、警察の目を誤魔化すためだったんだと思う」
名前の様子を確認したコナンは、更に言葉を続ける。
「でもよ、犠牲者は2人目以降も増えたんじゃなかったか?」
諸星は不思議そうに首を傾げる。
「モリアーティ教授ね…」
「?」
諸星の言葉に、名前が眉をよせて答える。
「……モリアーティ教授の英才教育が、切り裂きジャックを異常性格犯罪者に育て上げてしまったのね」
「母親の恨みを晴らしても、母親と同じような女性を次々と襲うようになったってわけか…」
名前の言葉に、快斗も納得したように頷く。
「それで…切り裂きジャックは、どいつなんだ!?」
諸星は待ちきれないように、コナンの言葉の先を急かす。
「ふっ、子供の頃から同じサイズの指輪をはめ続けていたら、その指はどうなると思う?」
「!!」
「……多分、10本の指の中でその指だけ細いはずだよ!」
--ザワザワ…
コナンの言葉に、乗客達は身の潔白を示すかのように自分の手を上に翳す。
「切り裂きジャックは…お前だっ!!」
「!?」
そんな中コナンは、慌てる乗客の中で一人落ちついた様子のまま座っている人物を指さす。
「なっ、あの人は女だぜっ!?」
諸星はコナンが指さした人物が、髪の長い女性だったため目を見開く。
「……ふぅん」
「どうしたの?」
「いや、完璧に女性に見えるし…なかなかの変装だと思ってよ」
「快斗ったら、こんな時に呑気ね」
名前はこんな場面にも関わらず、他人の変装術に感心している快斗に苦笑する。
そんな中コナンに指をさされた女性は、焦りもせずにニヤリと笑って右手を見せ付けるように目の前に翳す。
「あっ!?右手の薬指が細い!」
驚いて声をあげる諸星を尻目に、女性はゆっくりと立ち上がる。
---ベリッ!
「!!」
そして着ていたドレスを音を立てて破り捨てると、グイッと紅い口紅を手の甲で拭う。
「まじかよっ…!?」
先程まで清楚な姿だった女性は一転して、防弾チョッキを身に纏った男性の姿へと変わり、それを見た諸星は目を見開く。
「うわぁぁぁっ!!」
突然現れた切り裂きジャックに、乗客達はパニックになって声を上げながら逃げ惑う。
「……うわあ!!」
そんな中、一人の老婆が逃げ惑う乗客にぶつかって転んでしまう。
「おばあさん!!」
名前は、そんな姿を見て急いで老婆に駆け寄っていく。
「名前よせっ!!」
「切り裂きジャックに近付くな!」
---ボウンッ!!
快斗やコナンが走り出した名前を制止するが、それより早く切り裂きジャックが投げつけた煙幕が車両内を白い煙りで覆い隠す。
「…くそっ、煙幕か!窓を開けろっ!」
「お…おぅ!!」
---ガラガラ!
コナンと諸星が煙りを外に出すために、ガラガラと列車中の窓を開けていく。
「名前っ!!おいっ!!…名前大丈夫か?名前っ、返事しろよっ!」
煙幕に包まれて何も見えない中、快斗は必死に姿の見えない名前に向かって呼びかけるが、一向に返事は返って来ない。
---ゴオッ!!
開け放たれた窓からは、白い煙が勢いよく外に抜け出していく。
「………いない、」
「名前……」
煙が消え去り再びあらわになった車両内には、切り裂きジャックの姿も名前の姿もなく快斗は呆然と立ち尽くす。
「お…おい、メガネおかしくねぇか?」
「どうした……!?」
そんな中、諸星の戸惑ったようにコナンに声をかけたため、コナンが振り返ると息を飲んで目を見開く。
「乗客が全員消えてる、どういう事だ?」
列車内に先程まで大勢いたはずの乗客達が、煙幕の煙と共に跡形もなく消え去っていた。