「ベイカー街の亡霊」編
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「皆さん、両手を上げてください!!凶器を持っていないかどうか、確かめさせて頂きます!!」
「………。」
車掌の指示に従い両手を上げる乗客達を、コナンは真剣な表情で見つめる。
「?」
(手を見てる?凶器の確認っていうのは、口実か?)
そんなコナンの視線を見た快斗は、コナンが乗客達の手を見ているのに気付く。そして、不思議に思いながら自分も乗客達の手に視線を向けた。
card.359
「………。」
(じっくり聞かせてもらうぞ、お前の推理を)
モニタールームにいる優作は、真剣な表情でコナンの姿を見つめていた。
「では、これからミスター・ホームズの資料に書かれてあった事を説明します」
全員の乗客の手を確認し終えたコナンは、冷静な口調で説明し始める。
「………。」
そんなコナンの推理を、諸星は不思議そうな顔で見つめている。
「……切り裂きジャックの2人目の犠牲者である"ハニー・チャールストン″は、ウインザーと言う街で結婚していましたが…彼女は夢多き女性で、10年前に夫と息子を捨ててロンドンへ出て来ました」
「!!」
コナンの言葉にピクリ僅かに反応し、眉を寄せる名前。
「?」
(名前……?)
乗客や諸星達はコナンに注目していて名前の反応に気付かなかったが、名前の隣にいた快斗は、その僅かな動きに反応して心配気に名前に視線を向ける。
「……この2つの指輪は、パニック・チャールストンの殺害現場の遺留品です」
そんな中、コナンはホームズのファイルから抜き取った指輪の写真を手に取りながら、スラスラと推理を続けていく。
「1つはハニーの物、もう1つは同じデザインですが…ハニーのどの指にも合いませんでした」
「?」
コナンの言葉の意図が分からず、乗客達は黙ったままコナンの説明に耳を傾ける。
「この指輪をミスター・ホームズはこう推理しています。この2つの指輪は、被害者ハニー・チャールストンと切り裂きジャックの母子の絆を象徴しているのではないかと…」
「じゃあ、その小せえ指輪は…切り裂きジャックの物って事か?」
「ああ。ハニーは、同じデザインの指輪を息子の指にはめて家を出たんだ」
「ふーん…」
(ってことは、さっき名探偵が乗客の指を確認してたのは……)
コナンの説明を聞いた快斗は相槌を打ちながら、乗客達に目を向ける。
「ちょっと待てよ!!じゃあ切り裂きジャックは、自分の母親を殺したって事かよ!?」
それまで黙っていた諸星は、眉をよせてコナンにそう尋ねる。
「ああ。資料によると、ハニー・チャールストンが殺害された9月8日……この土曜日には、ホワイト・チャペル地区の教会で月に1度、親子で作ったものを持ち寄るバザーが開かれる日だったんだ。それを切り裂きジャックも知っていたんじゃないかって……」
コナンの説明を聞いた快斗は、納得したように小さく頷いて口を開く。
「つまり、切り裂きジャックは母親とハバザーに参加したかったという気持ちを込めて…指輪を2個残したって事か?」
「ああ…おそらく」
「へぇ……」
快斗とコナンの会話を聞いて、諸星は感心したように声を上げる。
「……じゃあ、殺害の動機は自分を捨てた母親への恨み…」
そんな中、今まで黙っていた名前がポツリと呟く。
「!」
そんな名前の様子に、コナンは何かを察したように息を飲み、快斗はコナンと名前の様子を見比べる。
「でもそれは、」
そんな2人を尻目に、名前は視線を下に向けたまま言葉を続ける。
「愛情と背中合わせの殺意…悲しわね」
「………名前、」
快斗はいつもと様子の違う名前
を気遣うように、そっと名前の手を握る。
「………快斗」
「………。」
そして自分を見上げる名前に向かって、安心させるように穏やかに微笑む。
「……ありがとう」
名前は、そんな快斗を見て安堵したように肩の力を抜くと快斗に微笑みを返す。
「……………。」
そんな2人の様子を見ていたコナンは安心したようにフッと息をつくと、再び乗客達に視線を向けて推理を続けた。