「ベイカー街の亡霊」編
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--プシュー!
-----ウィィィン!
「あ…あきらっ!?」
--プシュー!
「進也!!」
現実世界では、滝沢と江守のカプセルが音を立てて床下に消えていき、2人の保護者が顔を青くする。
「これで残りは、コナン君や名前君を入れて5人か…」
目暮は、モニターをジッと見つめたまま小さく呟いた。
card.355
---ドォォォン!!
「わあぁっ!!」
----ガッシャーンッ!!
「に、逃げろーっ!!」
その頃ゲームの世界の会場では、爆発が立て続けに起こり、地響きとともに天井や展示品が崩れ落ちてくる。観客達は、悲鳴をあげながら必死に逃げ惑っている。
「……ハッハッハ!!!」
そんな光景を、上階の特別席から見下ろしているモリアーティは楽しげに笑い声をあげる。
「いいぞっ!!切り裂きジャック!この世を地獄に変えろっ!!ハーハッハッハッ!!」
「アイリーンさん!こっちへ!」
「早く、裏口にっ!!」
その頃、コナン達はアイリーンを守りながら裏口から避難しようと、瓦礫を避けながら走っていた。
「……名前、早く来いっ!!」
「快斗、待って!まだ哀達が後ろにっ!」
ガラガラと音をたてて天井や舞台裏の大道具が崩れ落ちる中を、諸星がアイリーンの手を引いて裏口に向かったのを確認した快斗は小さく息をつく。そして、自分達も脱出しなくては…と、隣を走る名前を気遣う。
「…ッチ、名探偵!!何やってんだ!?早く来いっ!」
しかし名前は自分の後ろを走るコナン達を気にして、なかなか走るスピードを速めない。快斗は、小さく舌打ちしながら後ろを振り返ってコナンに声をかける。
「くそっ!わぁーってるよっ!!」
コナンは舌打ちしながら、崩れ落ちる瓦礫を避けながら快斗に言葉を返す。
「おい、灰原!早く来いっ!!」
コナンは、一度立ち止まり自分の後ろを走る灰原を急かすように声をかける。
---グラッ…
「!!」
必死に走る灰原は自分を急かすコナンの背後で、ぐらりとバランスを失う石像に気付いて息をのむ。
「……危ないっ!!」
---バッ!!
そして大声をあげながら、勢いよくコナンに飛びついていく。
---ドォォォンッ!!
そしてコナンが立っていた場所に、轟音とともに石像が倒れ込む。
「名探偵っ!?」
「哀!?新一っ!!」
その光景を見ていた名前と快斗は、息をのんで2人に駆け寄る。
「灰原!?大丈夫かっ!?」
コナンは慌てて立ち上がり、自分を突き飛ばして守ってくれた灰原に駆け寄るが、灰原の姿を見て目を見開く。
「……っ、」
近くまで駆け寄って来た名前と快斗も、灰原の姿が目に入ると小さく息をのむ。
「………哀ちゃん」
「…………。」
「駄目よ、工藤君…諦めちゃ…」
光に包まれた灰原を、コナンが言葉を失って見守る中、小さく微笑んでコナンに声をかける。
「お助けキャラがいないのなら、私達にとっての"ホームズ"はあなた…」
「!!」
「「…………。」」
名前達は黙ったまま、コナンに語りかける灰原の姿を見つめる。
「……あなたには、それだけの能力がある。ホームズに、解けない事件はないんでしょ?」
「は、灰原っ!!おい…っ!」
---シュルルルル…
「……哀ちゃん、」
「……哀っ!!」
「……馬鹿ね、そんな顔するんじゃないわよ。工藤君を…頼んだ…わよ…」
消えかけた身体の灰原を見て、悲しそうに眉を寄せる名前と快斗。
そんな二人を見て灰原は小さく笑って声をかける。響き渡る爆発音の中、光とともに消え去った灰原のいた場所には灰原の最後の台詞だけが小さく響いた。