「ベイカー街の亡霊」編
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~♪♪~♪♪~
照明が落ちて、ステージに立つアイリーン1人にスポットライトが当たる。
~♪♪~~♪~♪♪
精悍なベテラン指揮者とオーケストラに合わせて、アイリーンが美しい歌声を劇場いっぱいに響かせる。観客達はアイリーンの歌声に酔いしれていた。
card.353
アイリーンの口添えもあり、コナン達は舞台袖でアイリーンを見守っている。
「あの…オバサン歌うめぇんだな」
「ああ」
滝沢と江守は、目を丸くして舞台で歌うアイリーンを見つめている。
「………。」
(現実世界で、有希子さんにオバサンなんて言ったら…ただじゃすまないわね、きっと)
名前は、そんな会話を聞いて小さく苦笑する。
「…………。」
(くそっ!奴はどこに潜んでいるんだ…)
コナンはそんな滝沢達を尻目に、真剣に神経を研ぎ澄ませて辺りを警戒している。
「…さて、どこから来るかねぇ」
「そうね。これだけ観客やスタッフがいる舞台に乗り込んで来たら、切り裂きジャックだって逃げきれないと思うけど…」
名前の横で快斗が腕を組みながら切り裂きジャックの手口を考えているため、名前も小さく首を傾げながら自分の考えを告げる。
「どっちにしろ、名前は俺のそばから離れるなよ?」
快斗は名前を自分の側に引き寄せると、耳元で念をおすようにそう告げる。
「……快斗。今回は左手が使えないんだから、あまり無茶しないでね」
名前は快斗の気遣いを嬉しく思いながらも、心配気に眉を寄せて快斗の顔を覗きこむ。
「ああ!俺は大丈夫だから、そんな顔すんなって」
快斗は、名前を安心させるように明るく微笑んで、名前の頭を撫でる。
「……ありがとう」
名前は、そんな快斗に向かって笑顔で言葉返すと、再び舞台上のアイリーンに視線を戻す。
「…………。」
(だけど、本当に快斗にばかり無理はさせられないわ。何とか切り裂きジャックを捕まえてクリアしなくちゃ……)
名前は、舞台を見つめる快斗の横顔をチラリと盗み見ながら、グッと力を込めて拳を握った。
~~♪♪~♪~~♪
「クックク…」
コナン達が舞台袖でアイリーンを見守る中、モリアーティは舞台を上から見下ろせる特別席から、アイリーンを見つめて不気味に笑う。
「美しく死ぬのだぞ……アイリーン・アドラー…」
~~~♪♪~♪~♪
---チッ、チッ、チッ、
~~~~♪♪♪~♪
--チッ、チッ、チッ
美しい歌声が響く会場裏で、誰にも聞こえないような小さな音で時計のカウント音が響いている。
~~~♪♪~♪♪~
---チッ、チッ…チッ!
----ドォォォンッ!!
そして時計の針が1つの数字を示したのと同時に、激しい爆音が響く。
「!?」
~~~♪♪♪~♪………
「な……何だ!?」
「爆発かっ!?」
突然の爆発音と、それと同時にガタガタと揺れる館内。ピタリと演奏が止まり、観客達はガヤガヤと口々に何かを言い合いながら、不安気に席を立ち上がり辺りを見渡した。