「ベイカー街の亡霊」編
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---コンコン
「どうぞ!」
快斗がノックをすると、すぐに中から高い女性の声が聞こえる。
「…失礼します」
名前達は、扉を開けると花束を持ったコナンを先頭に中に入って行った。
card.352
部屋の中は、ピンクを基調とした華やかな装飾品に彩られており、中央に置かれたソファ女性が背を向けて腰を降ろしている。
「…どちら様かしら?」
そしてコナン達が部屋に入ると、女性はスッと立ち上がって振り返る。
「えっ、有希子さん!?」
「……名探偵の母ちゃんじゃねーか」
そこに立っていたのは、淡いピンクのドレスを身に纏った工藤有希子だった。名前は目を丸くし、その横にいる快斗は、かつての伝説の女優であるため有希子の存在を知っていたらしく小声で呟く。
「………。」
(やっぱりな……)
そんな中、コナンは自分の予想した通りの人物だったため呆れたように肩を落とす。
「あら…失礼ね!私は、"ユキコ″じゃなくて"アイリーン″よ?」
快斗の呟きは聞こえなかったようで、アイリーンは名前の言葉に反応して苦笑している。
「ホームズさんから花束です」
「まぁ、ありがとう!ホームズさんはどちらに?」
そんなアイリーンに向かってコナンが花束を差し出すと、アイリーンは嬉しそうに花束を受け取りながら辺りを見渡してコナンに尋ねる。
「ホームズさんは、今夜の舞台を楽しみにしていたんですが…事件で出かけていて伺えないんです」
「あら…そうなの?残念ね…」
名前の言葉に、アイリーンは残念そうに眉を寄せる。
「あの…今夜の舞台を中止してください!」
「え?」
アイリーンの足元で、コナンが前置きもなく突然用件を伝えたため、アイリーンは不思議そうに首を傾げる。
「ホームズの宿敵……モリアーティ教授が、あなたに殺し屋を差し向けたんです」
「何のために私を?」
快斗の言葉に、アイリーンはますます首を傾げる。
「…あなたを失った時の、ホームズさんの悲しみを見たいからです」
快斗の隣で、名前が真剣な顔で理由を伝えると、アイリーンは僅かに目を見開いた後に小さく微笑む。
「……アイリーンさん?」
「ふふ…私も見てみたいわ。ホームズさんが、どのくらい悲しんでくれるのか」
「なっ!?」
「切り裂きジャックの5人目の被害者になっても良いのかよ!?」
笑顔でそう話すアイリーンに、滝沢と江守は驚いて目を見開く。
「あら、みなさんが守ってくれるんでしょ?ホームズさんの代わりに」
「!」
当たり前のようにそう答え、コナン達の顔を笑顔で見渡すアイリーンに、滝沢達は何とも言えない顔で目を見合わせる。
「……肝がすわってるよなぁ、この女」
「……はは」
(だよなぁ…こういう性格だぜ)
諸星が呆れたようにコナンの耳元で耳打ちすると、コナンは自分の母親を思い出して何とも言えない表情で苦笑する。
「……名探偵の並外れた度胸は、遺伝だったってわけか」
快斗は普段から人並み外れたアクロバティックな動きで自分を追いかけたり、変声機で堂々と他人を演じるコナンの姿を思い返しながら、納得したように呟く。
「まぁ…"親子″だからね」
名前は快斗の言葉に、苦笑しながらもどこか悲しげに小さく呟いた。