導入編(オリジナル)
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宣言通りスタリと屋上に降り立ったキッドは、名前の身体を優しく扱いながらそっと地に降ろす。
card.35
「…ご友人を大切に想うのは、とても素敵だと思いますが…あまり無茶するのは感心しませんね」
嗜めるような台詞とは裏腹にキッドの口元は緩やかな弧を描いている。
「…そうね、今回はあなたがいて助かったわ。助けてくれてありがとう」
名前はキッドの言葉に素直に頷きながら、自分の行動を思い出し苦笑する。自分の行動を冷静に思い直してみると、もしあの場に偶然キッドがいなかったらどうなっていただろうか。あの高さから落ちたのでは、おそらく助からないであろう。先程までは現実味がなかったが、改めて地上に降りてから思い返すと、背筋にぞわりと冷たい感覚を覚えた。
「それに、あまり私に心配をかけさせないでいただきたい」
キッドは優しい雰囲気ではあるが、少しだけ強い口調で真っ直ぐ名前を見つめながらそう告げる。
「…"あなた″に?」
「ええ……目の前で貴方のような素敵な女性があのような行動に出たら、誰であっても心配しますよ」
キッドはニッコリと笑いながら当たり障りのない言葉を返す。名前はキッドの言葉に小さく息をついて、少し考えてから口を開く。
「私…屋上から落ちた時に、私の名前を呼ぶ声を聞いたの」
キッドはモノクルの下で、自分を見つめる名前をジッと見つめ返す。
「…貴方には素敵なご友人が大勢いますからね、皆さんあの時は本当に心配して…」
「違うの。さっき言ったでしょ?映画を見てるような気分だったって。自分が落ちるんだって思ったあの時…あの状況で私には、音も声も何にも聞こえていなかったの」
名前はキッドの言葉を途中で遮り、そこまで一気に言うと1度言葉を切って目を閉じる。
--……名前!--
頭に浮かんだあの声をしっかりと思い出す。そして"間違いない"そう確信しながら、名前は目を開けてもう1度キッドを見つめる。
「……。」
「だけど、あの時聞こえたのは…あの瞬間にたった1人だけ私に届いた声は、あそこにいた友人たちの誰の声でもなかった。私の名前を呼んだあの声は…あなただったんじゃないの?」
(…名前、)
名前の強い眼差しと、その言葉にキッドはドキリと胸が高鳴るのを感じる。
「あなたは…"怪盗キッド″の本当の正体は…」
---ピリピリ
名前が、キッドに本当に聞きたい言葉を言いかけたところで、名前のポケットの中で携帯の着信音が鳴り響いた。
card.35
「…ご友人を大切に想うのは、とても素敵だと思いますが…あまり無茶するのは感心しませんね」
嗜めるような台詞とは裏腹にキッドの口元は緩やかな弧を描いている。
「…そうね、今回はあなたがいて助かったわ。助けてくれてありがとう」
名前はキッドの言葉に素直に頷きながら、自分の行動を思い出し苦笑する。自分の行動を冷静に思い直してみると、もしあの場に偶然キッドがいなかったらどうなっていただろうか。あの高さから落ちたのでは、おそらく助からないであろう。先程までは現実味がなかったが、改めて地上に降りてから思い返すと、背筋にぞわりと冷たい感覚を覚えた。
「それに、あまり私に心配をかけさせないでいただきたい」
キッドは優しい雰囲気ではあるが、少しだけ強い口調で真っ直ぐ名前を見つめながらそう告げる。
「…"あなた″に?」
「ええ……目の前で貴方のような素敵な女性があのような行動に出たら、誰であっても心配しますよ」
キッドはニッコリと笑いながら当たり障りのない言葉を返す。名前はキッドの言葉に小さく息をついて、少し考えてから口を開く。
「私…屋上から落ちた時に、私の名前を呼ぶ声を聞いたの」
キッドはモノクルの下で、自分を見つめる名前をジッと見つめ返す。
「…貴方には素敵なご友人が大勢いますからね、皆さんあの時は本当に心配して…」
「違うの。さっき言ったでしょ?映画を見てるような気分だったって。自分が落ちるんだって思ったあの時…あの状況で私には、音も声も何にも聞こえていなかったの」
名前はキッドの言葉を途中で遮り、そこまで一気に言うと1度言葉を切って目を閉じる。
--……名前!--
頭に浮かんだあの声をしっかりと思い出す。そして"間違いない"そう確信しながら、名前は目を開けてもう1度キッドを見つめる。
「……。」
「だけど、あの時聞こえたのは…あの瞬間にたった1人だけ私に届いた声は、あそこにいた友人たちの誰の声でもなかった。私の名前を呼んだあの声は…あなただったんじゃないの?」
(…名前、)
名前の強い眼差しと、その言葉にキッドはドキリと胸が高鳴るのを感じる。
「あなたは…"怪盗キッド″の本当の正体は…」
---ピリピリ
名前が、キッドに本当に聞きたい言葉を言いかけたところで、名前のポケットの中で携帯の着信音が鳴り響いた。