「ベイカー街の亡霊」編
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---ガタン
馬車に乗り込んだ教授を、名前達は黙ったまま見つめる。
腰を降ろした教授に向かってコナンは、何かを考えるように小さく視線をさ迷わせた後に、馬車が動き出す直前に口を開いた。
card.345
「……3年後、ライヘンバッハの滝にご注意を」
「ん?」
「…………。」
コナンの突然の言葉に教授は不審そうに首を傾げるが、コナンはそれ以上は何も言わずに小さく微笑む。
---ガラガラガラ…
教授は少し不満気な顔をしつつも、それ以上は何も追及せずにコナンから視線をそらすと、そのまま馬車を走らせて行った。
「……ライヘンバッハって?」
馬車を見送りながら、快斗は名前の耳元に顔を寄せて尋ねる。
「モリアーティ教授は…3年後、スイスのライヘンバッハと言う滝でホームズと対決するのよ」
「…へぇ、それでどうなるんだ?」
「その対決で、2人は滝壺に落ちてしまって…ホームズは後で奇跡的に生還するんだけど…」
「あ、あの教授は?」
名前と快斗の会話を聞いていた諸星が、先を急かすように尋ねる。
「モリアーティ教授は、そこで亡くなったみたい」
「……へぇ」
諸星は名前の返事を聞いて小さく呟くと、既に姿は見えない馬車が去っていた方向を見つめる。
「何で注意しろ…なんて言っちまったのかな」
そんな名前達の足元でコナンが無意識なのか、ポツリと呟く。
「やっぱ、俺ホームズと同じくらい…あの悪党も気に入ってんだろうな…」
そんなコナンの小さな呟きを聞いて、名前はクスクスと笑う。
「あら、そんな事今更なんじゃない?昔からホームズと同じくらい、モリアーティ教授の話しもしてたわよ」
「……うるせーよ」
名前が笑いながらからかうようにそう言うと、コナンは照れたように小さく呟く。
「な…なぁ、メガネ…」
「……ん?」
小声で話す名前とコナンに、諸星達が戸惑いがちに声をかける。
「悪かったな…俺達のせいで、4人もゲームオーバーになっちまって…」
「やっぱり…お前に任せて大人しくしてれば良かったよな…」
振り返った名前とコナンの視線の先には、気まずそうに顔を歪ませる諸星と滝沢の姿。その姿に、コナンは小さく息をついて微笑みながら口を開く。
「……ま、済んだことは悔やんでも仕方ないよ」
「そうね…あなた達が、そう思いはじめただけでも…一歩前進なんじゃない?」
コナンに続いて、灰原も小さく微笑んでそう言葉を返す。
「……そう、かな」
滝沢達は、少し救われたような表情をするが、まだ気にしてるようでシュンと肩を落としている。
「ほら、オメーら!いつまでも辛気臭ぇ顔してんなって!大事なのはこれからって事だ」
そんな諸星達の頭をガシガシと撫でながら、快斗が笑う。
「……そうね。私達を守ってくれたみんなのためにも…頑張りましょう」
快斗の隣では、名前が優しく微笑みながら諸星達にそう声をかける。
「……うん!」
「そうだよな!」
諸星や滝沢達は、小さく頷きながら何かを決意したように笑顔を見せた。
「さて…とにかく、明日の朝刊が出るまでは待つしかないみたいだし……まだ夜明けまで5時間くらいあるわよ」
灰原は、なんとなく話しがまとまった雰囲気を見計らったように口を開く。
「そうね…今日も1日結構ハードだったし…少しでも良いから身体を休めたいわね」
名前は、チラリと諸星や江守達の姿を見ながら返事を返す。"姿″だけが子供であり、普段から事件に巻き込まれているコナンや灰原と違い、まだ小学生の諸星達にとっては、非日常的な出来事の連続に疲労が蓄積しているはずだ。
「どっか簡易宿泊所みてーの探すか?屋根がある場所で横になるだけでも大分違ぇだろ」
快斗が名前の気持ちを察したように、そう提案する。
「そうだな…」
快斗の言葉に、特に反論はないようでコナンも小さく頷いた。