「ベイカー街の亡霊」編
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「ハッハッハ!」
帽子に手をかけながら、使用人は低い声で楽しそうに笑う。
「そこまで見抜かれていたとは…なぜ分かった?」
そしてするりと帽子を外した、"モリアーティ教授″はニヤリと笑ってそう尋ねた。
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「さっきモラン大佐が教授に、"お待ちください″って言ってたわ」
「なるほど。モラン大佐が敬語を使うのは、モリアーティ教授に対してだけという事ね…」
名前の言葉を聞いた灰原が、納得したように呟きながら小さく頷く。
「ほう…それだけかね?」
教授は、どこか楽しそうに笑いながら尋ねる。
「…もう1つ。モリアーティ教授は天然ハーブ系のコロンを使うお洒落な老人だって聞いていたんだ!」
「へーぇ、それがワインを渡した時に匂ってきたと言うわけか」
コナンが笑顔で答えた言葉に、快斗が感心したようにそう呟く。
「ははっ…やはり、ホームズの弟子達だ。お世辞などではなく、見事だ。ところで、私に何の用かな?」
教授は楽しそうに笑ったあと、スッと真剣な視線に戻りそう尋ねる。
「切り裂きジャックって、ロンドンを恐怖の都に変えるために、教授が街に放った人なんだよね?」
「ふふ…当たらずとも遠からずだ」
コナンの問いに、教授は過去を思い返すように視線を空に向けて言葉を続ける。
「切り裂きジャックは、貧民街で拾った浮浪児だった。母親に捨てられて路頭に迷っていた浮浪児だったが、一目見て才能を感じたよ…"犯罪者としての才能″をね。私が彼を、一流の殺し屋に育て上げたんだよ…」
そう説明しながら、教授はニヤリと小さく笑う。
「……何の罪もない女性達を殺害してるのは何故ですかハーブ」
名前は、そんな教授から目をそらさずに尋ねる。
「……切り裂きジャックは、私の想像を超える殺人鬼なってしまったんだ。一連の事件はあの子の暴走だよ」
「"暴走″ね…」
快斗が教授の言葉に眉をよせる。
そんな快斗を尻目に、教授は試すような視線をコナンに向けながら、更に言葉を続ける。
「君達が切り裂きジャックを退治しようとしているのなら、私も協力しようじゃないか…」
「……協力?」
「どういう事だよ!?」
教授の言葉に、諸星と滝沢が不審そうに首を傾げる。
「切り裂きジャックは、確かに暴走し始めているが…私が殺しの指令を送れば、まだ従うはずだ。君達が、そこへ先回りすれば良い」
「……どうやって?」
「明日のサンデー・タイムズの広告に彼へのメッセージを載せる」
「誰を殺せと命じるんだ?」
「それは、明日の新聞を見れば分かるさ…」
快斗の問いに、教授は明確には答えを出さずに笑いながらそう答える。
「……………。」
コナンは、ジッと何かを考えるように教授を見つめる。
「おい、信じるのか?このじいさんの言葉を…」
諸星は、どこか不満そうに眉を寄せてコナンに小声で尋ねる。
「今はこれしかないんだ…賭けてみよう」
「……ふ、幸運を祈るよ」
コナンの答えにモリアーティは満足気に笑ってそう告げると、馬車へと乗り込んだ。