「ベイカー街の亡霊」編
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店を出ると、使用人が言うように店のすぐそばに馬車が停まっていた。
「誰かが座ってるわ。彼がモリアーティ教授かしら?」
「……。」
並んで外に出た灰原とコナン。灰原の言葉に、コナンはどこか納得のいかないような表情で馬車を見つめていた。
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「皆様をお連れしました…」
使用人は馬車の横に立つと、小さく頭を下げて馬車の中に座る人物に告げる。
「…ご苦労。さて、坊や…そのワインを頂こう」
馬車の中の人物は深く帽子を被り表情がほとんど見えないが、使用人の言葉を受けて馬車の中から低い声が返ってくる。
「……はい、どうぞ」
コナンは、その言葉に返事をしてワインを使用人に手渡す。
「?」
(あれ、この香り…?)
コナンはワインを使用人に手渡した時に、ふいに鼻先を擽る香りに小さく首を傾げる。
「……モラン大佐と互角やり合うとは、さすがホームズの弟子達だ。で、私に何か用かな?」
「………。」
教授が馬車の中からコナン達に向けて尋ねるが、コナンは何かを考えるように黙ったまま答えない。
「……あの、失礼ですが…あなたが"モリアーティ教授″ですか?」
そんなコナンの横で、名前が戸惑いがちに馬車の中の人物に尋ねる。
「いかにも…」
「………。」
「……名前?」
どこか疑うような眼差しをモリアーティ教授に向ける名前に、快斗が首を傾げながら馬車の中の教授を見つめる。
「あ…そっか!これって、僕達を試しているんだね?」
「!?」
そんな快斗と名前の足元で、コナンが教授に向かって無邪気な子供の口調でそう尋ねる。思わぬコナンの言葉に、快斗や諸星達は目を丸くする。
「…どういう意味かな?」
「…………。」
(ん?今の声…なんか…)
コナンの言葉に、教授は低くドスの効いた声で尋ねる。しかし、その言葉を聞いた快斗は、違和感を感じて眉を寄せる。
「もうお芝居はやめたら?おじさんは、モリアーティ教授じゃないんでしょ?」
そんな中、コナンは威圧的な教授の言葉にも怯む様子を見せずに言葉を続ける。
「えっ!?」
「なっ!?おい、どういう事だよ?メガネ!」
コナンの言葉に、ますます諸星達は目を丸くするが、コナンは構わずに笑顔のまま言葉を続ける。
「……だって、本物のモリアーティ教授はここにいるもの!!」
そして、スッと人差し指を使用人に向けながらそう告げる。
「!?」
「えっ!?」
コナンの言葉を聞いた諸星や滝沢は、自分たちのすぐそばに立っている使用人を見ながら顔を青くする。
「ふーん。じゃあ、あの声はすべて教授が腹話術で喋ってたってわけか」
教授に疑いの目を向ける名前に習い、ジッと教授を見つめていた快斗。コナンとの会話の途中、耳に届く教授の声に違和感を感じていたが、コナンの推理を聞いてその違和感の答えを確信する。
「……………。」
コナンや快斗の言葉にしばらく黙っていた使用人だったが、ふっと息をつくと深く被っていた帽子に手をかけた。