「ベイカー街の亡霊」編
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「…コロセウムで2人脱落です!」
--プシューッ!
----ウィィーン!
「……さ、智っ!」
「あ、あなた!麻衣子が……麻衣子がっ!」
次々と床下に消えていくカプセルに、会場には保護者の悲鳴が響いていた。
card.336
「……あと30人か」
ホームズの下宿から歩いて戻って来た名前達は、再びビッグ・ベンにたどり着いた。
「随分減っちゃいましたね…」
下宿につく前に見た時計の針は"47″を指していたが、今は"30″を示していた。
「……僕達の中からも、そろそろ脱落者が出る頃ですね」
「不吉な事言うなよ…!」
光彦の冷静な呟きに、元太は顔を青くする。
「…………。」
(……誰か1人がクリアすれば良いとは言っても、出来ればこの中から脱落者なんて出ないでほしいわね)
名前は光彦達の会話を聞きながら、無意識にギュッと快斗の服の裾を掴む。
「…名前ちゃん、大丈夫?」
「ええ…ごめんね」
弱々しく微笑む名前を見て、快斗はスッと名前の耳元に顔を寄せる。
「本当は抱きしめてやりてーけど、こいつらがいるから…今はこれで我慢して」
そして囁くように小声でそう告げると、名前の左手を右手でギュッと優しく握り、そのまま快斗のポケットに引き入れる。
「……抱きしめてもらうのは、現実世界に戻った時の楽しみにしておくわ。…快斗、ありがとう」
「………お、おお」
(何これ……何か、珍しく素直だし、すげぇ可愛いんだけど。俺が現実世界まで我慢できねーよ)
珍しい名前の態度に、快斗は僅かに頬を染める。それを隠すように、コナン達の後を追って歩き出すが、その右手はしっかりと名前の手と繋がれていた。
--トランプクラブ
トランプクラブにたどり着いたコナン達は、目立たないように店の裏側にまわる。
「……俺が裏口から様子を見てくるから」
先頭に立つコナンは、くるりと振りかえると名前達に小声でそう告げる。
「…気をつけてね」
名前は、コナンの台詞に小さく頷く。
「ああ。すぐ戻っから、こいつら頼んだぞ」
コナンはそう言い残すと、静かに店の中に消えて行った。
店内に入ったコナンは、足音を殺して店内でポーカーをする男達が見える位置まで移動する。
「………。」
(飲んでいるだけの客も何人かいるようだが、やはりモラン大佐もいるな)
「……私は2枚だ」
コナンの視線の先には、険しい表情でカードを見つめるモラン大佐の姿。
「私は1枚!」
モランは、店の中央のテーブルで3人の男達と酒を酌み交わしながら、コインを賭けてポーカーをしていた。
(ん?あの猿…)
そんなモランを見つめていたコナンは、モランの正面に座る男性の後ろのカウンターで餌を食べる小猿の動きに違和感を覚えて、小猿の動きジッと見つめた。
「……コナン君大丈夫でしょうか?」
「コナン君なら、きっと大丈夫だよ!」
その頃、店の裏側でコナンを待っている光彦達は、心配そうに店内の様子を気にしている。
---スッ…
「おい、オメーら…どこ行くんだよ?」
そんな中、ふいに立ち上がった諸星と滝沢に快斗は訝し気に尋ねる。
「…あのチビメガネだけに任せてられねーよ」
「ああ!俺達も、ちょっと店の中見てくるよ」
諸星達は平然とそう告げると、店内に続く扉に手を伸ばす。
「諸星君も、滝沢君も…危ないから。コナン君が戻って来るまで待ってましょう?」
名前は、諸星の手を掴んで制止する。
「何でだよ、あのメガネは危なくねーのかよ?」
「それに…こんな所で黙って待ってるだけなんて、つまんねーよ!」
「「…………。」」
名前は、諸星の手を握ったまま2人の顔を困ったように見つめる。
「……おい、イイから離せよ。何を言われたって、俺達は行くのやめないぜ」
しかし意見を変えようとしない2人に、名前は小さくため息をつく。
「分かったわ。私も一緒に行くから、中の様子見に行くだけよ?」
「……ちょっ、名前ちゃん!?」
名前の思わぬ発言に、3人を見守っていた快斗は目を丸くする。
「だって……諸星君達だけ行かせるわけにもいかないじゃない」
「だけど……」
快斗は、もちろん名前だけで行かせるつもりなんて全くないが、歩美や元太達をここに残したまま自分も店内に入ると簡単に言う事も出来ずに、困ったような表情をして、チラリと灰原の顔色を窺う。
「……2人とも行って来なさいよ。この子達は私が見てるから」
快斗の表情を見た灰原は、チラリと自分の後ろの元太達に目を向けながら呆れたようにそう呟く。
「悪ぃな、哀ちゃん!すぐ戻るから頼むぜ?」
快斗は灰原の言葉に小さく安堵の息をつきながら、灰原に笑顔で礼を言う。
「はいはい…」
(そんなに名前を1人で行かせたくないのね…)
「哀……ごめんね」
「いいから、いってらっしゃい」
灰原はため息をつきながら、2人に早く行けと言うように、ヒラヒラと手を振る。
「…何だよ、俺達はオメーらが着いて来なくたって大丈夫だよ!」
「ったく、めんどくせーな。いちいち大袈裟なんだよ」
そんな快斗達のやりとりを見ていた諸星達は、不服そうにため息をつく。
「……文句は良いから、一緒に行くわよ。良い?何かあっても、1人で無茶しちゃ駄目よ」
「お前ら店の中に入ったら、中の奴らに気づかれないように静かに行動しろよ」
名前と快斗は不機嫌そうな諸星達を尻目に、すっかり2人の保護者のように諸星達に声をかけながら4人で店内に入って行った。