「ベイカー街の亡霊」編
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「………。」
(会場への入口には金属探知機…犯人は、どうやって凶器を持ち込んだのか)
その頃、現実世界では優作が会場へ続く廊下を見つめながら考えを巡らせていた。
card.327
「だーかーら!防犯カメラの映像を見せろって言ってんだよ!!」
優作が廊下を歩いていると、廊下の先で若い警備員に詰め寄っている男の後ろ姿が目に入る。
「……どうしました?」
優作は近寄って行って警備員に声をかける。
「あ、工藤先生!」
警備員の言葉に、警備員に声をかけていた男性がピクリと反応して振り返る。
「……この方が、監視カメラの映像を見たいとおっしゃって」
「監視カメラの映像を…?」
優作はそう言いながら、警備員と話していた男性をチラリと見た後に再び警備員に目を向ける。
「申し訳ありませんが…私も監視カメラを確認したいので、警察の方に確認をしていただいて良いですか?」
「え?…あ、分かりました!少々お待ちください!」
若い警備員は、一瞬キョトンとした顔を見せるが、すぐにペコッと頭を下げて走り去っていく。
「「…………。」」
警備員が立ち去った後、優作は残った男性に視線をうつす。
「失礼ですが…あなたは?」
「…初めまして、三船拓也と言います。」
警備員に詰め寄っていた"三船″は、社長という立場のため挨拶には慣れているのか、すぐに姿勢を正して挨拶しながら名刺を差し出す。
「どうも…私は工藤優作です」
優作も、名刺を受け取りながら頭を下げる。
「ところで、なぜ監視カメラの映像を?」
「あー、説明し辛いんですが。実は、俺……いや、私のせいで今あのゲームに参加している知人がいるんです」
三船は優作が相手であるため、いつもの口調ではなく丁寧な口調で言葉を続ける。
「あのゲームにですか?」
「…ええ。それで現実の世界でも殺人事件が起きたと聞いて……殺人事件と、あの人工頭脳の暴走が関係あるのかは分かりませんが、警察はあのゲームの事態の収拾で忙しいと思いまして」
「………。」
「……あいつらをゲームに参加させてしまったのに、自分だけ安全な会場で座ってゲームを見てる自分に、どうにも苛ついてしまって…」
「…それで事件の調査を?」
「ええ…まぁ、あなた方みたいに事件を簡単に解決出来るとは思いませんが、何か出来る事がないかと思って」
三船は、何となく居心地が悪そうに頭を掻きながら簡単に事情を説明する。
「そうですか……しかし大丈夫です。事件の犯人に関しては…ある程度目星がついています」
「……え?」
「今は…凶器と証拠を探している段階です」
「そう…ですか」
三船は拍子抜けしたように目を丸くすると、小さく息をつく。
「……なら、私は会場に戻ります」
「あなたにお聞きしたいのですが、」
「え?」
会場に戻ろうとする三船の言葉を遮って優作は呼び止める。
「あなたの知人でゲームに参加しているというのは…もしかして、名字名前と黒羽快斗という2人ですか?」
「!!……そうですが?」
「…あなたは、あの2人と知り合いなんですね?」
「…………。」
三船は自分を見つめる優作の視線が、何かを探るように自分に向けられている事に気付いて、一瞬眉をあげる。
そんな三船に向かって、優作は小さく微笑んで言葉を続ける。
「"黒羽快斗″……という少年は、どういう人物なのか教えてもらいたい。」