「ベイカー街の亡霊」編
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---コツコツ…
「!?」
路地裏を歩いていたコナンは、ふいに聞こえてきた足音に反応すると、サッと手を出して後ろを歩く歩美達を制止する。
「……どうしたの?コナン君」
「警官だ…子供だけで、こんな時間に歩いてたら不自然だろ?」
「ああ、そうか。警察に捕まってもゲームオーバーだったもんな」
諸星は、コナンの行動に納得したように呟いた。
card.326
「また路地裏で犠牲者が出たらしいぞ?」
「1時間に2件…これで4件か。まったく、ひでぇ世の中だな…」
警官達は路地裏に身を潜めるコナン達には気が付かずに、そんな会話をしながら歩き去っていく。
「……怖いね、」
「大変な時代に来てしまいましたね…」
警官の言葉を聞いて、歩美達は顔を見合わせる。
「……世紀末のロンドンは、大栄帝国最後の最も良き時代だったと言われているけど、実際は貧富の差が激しく…犯罪は悪質化し…人々の心が荒んでいった時代よ」
灰原の言葉に、名前は小さく頷いて言葉を続ける。
「小説と現実が入り混じったこの世界では…正に、切り裂きジャックが時代の闇で……」
「シャーロックホームズが、時代の光りってわけか…」
名前の言葉を引き継いで、快斗が呟く。そんな会話をしながらも、警官達をやり過ごしたコナン達は角を曲がる。
「!!」
~~♪♪♪~♪
「な…に?」
角を曲がると、ちょうどアコーディオンを弾く男性がコナン達に向かって歩いて来るところだった。ぶつかりそうになったコナンは、目を丸くして立ち止まる。
「~~♪Jack The Ripperに気をつけろ~夜道でお前を待ってるぞぉ~♪」
「…っ!」
名前は、不気味な出で立ちの男とその歌詞の内容に小さく息をのんで一歩後ずさる。
「~♪夜道でお前を待ってるぞぉ♪死にたくなけりゃどーするか~♪お前も血まみれになるこったぁ~♪」
「「「…………。」」」
不気味な男が立ち去った後に、何となく無言になるコナン達。
「おい、急に後ろに下がって来るなよ。オメー、良い歳して怖ぇのかよ?」
そんな中、諸星が呆れたように名前の足元から声をかけてくる。
「あっ…ごめんね」
自分が後ずさった時に、後ろにいたぶ諸星にぶつかってしまった事に気付いた名前は慌てて謝る。
「……ったく、偉そうな事ばっかり言うくせに…あんな男に怖がってんなよ」
「…………あはは、」
名前は、諸星の言葉に反論出来ずに曖昧に微笑みを浮かべる。
「おい…テメー!俺の名前ちゃんに、なんて口の聞き方してんだよ」
そんな名前の横で、快斗が眉をよせて諸星の頭をペシッと叩く。
「…何すんだよっ!」
「名前ちゃんの怖がりは……名前ちゃんの可愛い魅力の1つだぜ?オメーも男だったらな、そーいうところもカバーしてやれるようにならねーと、良い男とは……」
--ポンポン
「快斗、お願いだから子供相手に恥ずかしいからやめて」
「えー?だってこいつ、俺の名前ちゃんに向かって……」
名前は呆れたように快斗の肩を叩いて制止するが、快斗は納得がいかないような表情を見せる。
「……ふんっ」
しかし快斗の言葉に、諸星は意外にも反論せずに不服そうに視線を逸らす。
「それより、今の歌どういう意味かしら?」
不機嫌そうな諸星に気を使うように、菊川がサラリと話題を逸らす。
「さぁな、やられる前にやれって事じゃねーの?」
「なるほど…」
諸星は適当に言葉を返すが、滝沢は意外にも納得したように頷く。
「……………。」
(血まみれ…か)
コナンは立ち去っていくアコーディオンの男の背中を、ジッと見つめながら見送っていた。