「ベイカー街の亡霊」編
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「何だか旅行に来てるみたいな気分だね!」
ホワイトチャペル地区からベイカー・ストリートまでは、そこそこの距離があったが、歩美達は見慣れないロンドンの町並みを見渡しながら楽しそうに歩いている。
「ったく、せっかく旅行に来るんだったら、俺は名前ちゃんと2人で来てーよ」
そんな歩美達の会話を聞いて、快斗はポケットに左手を入れたまま不満気に呟く。
「そうね、この前の北海道も結局観光どころじゃなかったもんね」
名前は、苦笑しながら快斗の呟きに同意した。
card.325
「…おい、あの時計おかしくねーか?」
そんな中、快斗と名前の前を歩く諸星がふと立ち止まって上を見上げる。
「?」
快斗や名前は、その言葉につられて諸星の視線の先を見つめる。
「…ビック・ベンか」
快斗達の視線の先にあるのは、ロンドンの象徴とも言えるビッグ・ベン。
「…?」
名前は、どこにも違和感を感じない時計を不思議そうに見つめる。
---カチッ、
「!!」
「針が戻ったわ…」
本来の動きとは、反対方向に進む針の動きに灰原が目を丸くして呟く。
--カチッ、
「あっ、また戻りました!」
「49分から…48、そして47分…」
コナンは針を見つめて、小さく呟く。
「し…コナン君、あれってもしかして…」
「何だよ?」
時計を見つめたまま、ポツリとコナンに話しかける名前。コナンは、時計から名前に視線を向けて首を傾げる。
「あの数字、ゲームに参加する子供の数なんじゃ…」
「何っ!?」
名前の言葉に、コナンはハッとして時計に目を向ける。
「でも…参加者は、確か50人のはずじゃ?」
「あの財閥のお嬢さんが参加してねーだろ?」
「そうか!園子さんもバッジ持っていましたね!!」
光彦の疑問に快斗がサラリと答えると、光彦も納得したように頷く。
「……じゃあ、2分針が戻ったって事は…」
「ど…どこか別のステージで2人ゲームオーバーにっ!?」
菊川と江守は、顔を青くして目を見合わせた。
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「…ヴァイキングで2人脱落です!!」
その頃、現実世界のモニタールームでゲームを見守っていたスタッフが声をあげていた。
---プシューッ!
------ウィィーン!
「や…康弘ぉーっ!?」
脱落した子供が入っているカプセルは、音を立てて回転しながら床下に消えていく。
「み…峰子っ!」
自分達の子供が入ったカプセルが、光りを失い床下に消えていくのを保護者達は絶望的な気持ちで見つめている。
---プシューッ!
------ウィィーン!
「今度は、コロセウムで2人脱落です!!」
「…………ッチ」
三船は、音を立てて消えていくカプセルを眉を潜めて見つめている。
「社長……」
そんな三船に、状況を調べていた部下がそっと近付いて声をかける。
「何だ?」
「どうやら、殺人事件がおきたようです」
「殺人だと?」
「はい。推理作家の工藤先生が調査しているようです」
「…………。」
三船は部下の話を聞いてしばらく考えた後に、自分の背後の頭上にある硝子張りのモニタールームを仰ぎ見る。
(殺人事件……ゲームと関係あるのか?)
---ガタン
「しゃ…社長?」
突然立ち上がった三船に、部下は首を傾げる。
「……ゲームに何か変化があったら連絡しろ。特に、名前と快斗のカプセルは見ておいてくれ」
「え……はい」
戸惑う部下を尻目に、三船はスタスタと会場を後にした。
「…今度はコロセウムで2人脱落です!」
「残り…42人か…」
モニタールームでは、次々に減っていく子供達の人数に目暮達の表情はどんどん険しくなっていく。
「…………。」
そんな中、シンドラーは黙ったままじんわりと額に汗を浮かべている。
(……もっとだ、もっと早くゲームオーバーになってしまえ!!切り裂きジャックの正体に子供達がたどり着いたら、私は終わりだっ…)
---プシューッ!
-----ウィィーン!
シンドラーは、次々と床下に消えていくカプセルを鋭い視線でジッと見つめていた。