「ベイカー街の亡霊」編
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card.323
「博士っ!?…博士!」
コナンが、必死に声が途切れた上空に向かい呼び掛ける。
--ガラッ、ドドドッ!!
「!?」
すると、突然名前達の立っている足元の石橋が真ん中から轟音とともに崩れ落ちていく。
「名前危ねぇっ!!」
「…キャッ!!」
「「わぁぁぁぁっ!!」」
--ガラガラガラ!!
「うわあああぁあっ!!」
崩れ落ちる橋から必死に逃げ出すなか、快斗の後方で悲鳴が聞こえる。
「くそ、あいつ…!」
そこには逃げ遅れて、足元の橋が抜けて落ちて川に落下しそうになっている菊川の姿。
---パシッ!
「くぅーっ!!」
快斗は、咄嗟に飛び込むようにして落下していく菊川の腕を掴む。
「快斗っ!」
橋が崩れ始めた途端、快斗に背中を押されて逃げ延びた名前は、快斗が菊川の身体を左手で支えているのに気が付いて、急いで駆けより菊川の腕を掴む。
「菊川君っ!落ち着いて、反対の腕で私に掴まって!」
名前は快斗の左手の負担を減らすために、快斗が掴んでいる菊川の左手を掴みながら、さらに反対の手で自分を掴むように声をかける。
「快斗お兄さん!名前お姉さん!」
「みんなで引き上げるぞ!そーれっ!」
歩美達もすぐに駆け寄って来て、掛け声を上げながら菊川を引き上げる。
--ズルズル…
「ハァ、ハァ…」
何とか引き上げられた菊川は、息を乱しながら落下しかけた恐怖に身体を震わせる。
「おい…大丈夫か?」
「落ち着いてゆっくり呼吸するのよ…」
コナンと灰原が、そんな菊川の背中を摩りながら声をかける。
「ハァ、ハァ…」
「…………。」
息を乱す自分の友人と、崩れ落ちた橋を諸星達は呆然と見つめていた。
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『まだ分かっていないようだね…ゲームは全部僕が支配してるんだ。ずる賢い事を考えたって無駄さ。向こうの声だけは聞こえるようにしてあげる……子供達の苦しむ様子を楽しむんだね…』
現実世界では、ノアズ・アークの怒りの篭った冷たい台詞が会場に響き、保護者やスタッフ達は青ざめて息をのんでいる。
「…くぬぬっ、なんて性格の悪いコンピューターだっ!」
小五郎はどうする事も出来ない状況に、悔し気に顔をしかめて呟いた。
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「……快斗、大丈夫?」
菊川から離れた場所で、名前は快斗に小声で声をかける。
「……大丈夫、と言いたいところだけど…ちょっとまずいな」
快斗は左腕を軽く摩りながら苦笑いする。
「…やっぱり痛いの?」
名前は、快斗の手の上に自分の手を重ねて心配そうに尋ねる。
「痛いっつーか、痺れちまって…力も入らねぇ」
「…………そう」
名前は、眉をよせて心配そうに呟く。
「ま、幸い利き手は右手だし……何とかなるだろ。あいつには言うなよ」
快斗は、チラリと助け出された菊川を見ながら小さく微笑む。
「無理しないでね」
名前は、曖昧に微笑みながらギュッと快斗の手を握る。
「心配すんなって!」
「……………。」
(いつも守ってもらってばかりだけど…今回は、快斗に負担をかけないように私が頑張らないと…!)
名前は自分にいつもの笑顔を向ける快斗を見つめながら、心の中で強くそう決心していた。