「ベイカー街の亡霊」編
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「これが…霧の都ロンドン?」
「ロマンチックと言うよりは、不気味な感じですね」
「なんか空気も汚ねーな」
光の入り口を抜けたコナン達は、夜のロンドンに立っていた。歩美達は、イメージしていた街並みと違っていたのか口々に感想を呟く。
「……ロンドンの霧ってのは、水蒸気が凝結しただけの綺麗なものではなく、石炭や石油を燃やした煤煙が霧と複合して出来たスモッグの事なんだ」
「へぇ…」
淡々と告げられたコナンの説明に、快斗は感心したように小さく頷いた。
card.321
「キャアアア!!」
「!?」
初めてのロンドンの街を見渡していた元太達の元に、ふいに女性の悲鳴が響く。
「切り裂きジャック!?」
その悲鳴に、コナンがいち早く反応して悲鳴がした方に駆け出していく。
「さっそく始まったみたいね…!」
「ああ、さっさと捕まえてクリアしちまおうぜ!」
名前と快斗も、コナンの後を追って駆け出していく。
「痛ってぇーっ!!!」
「!?」
2人が曲がり角に差し掛かろうとしたところで、壁の向こうからコナンの大声が聞こえる。
「どうしたの!?」
「大丈夫っ……か?」
快斗と名前は、何事かと顔色を変えて急いで角を曲がると、そこには右足を押さえながら痛みに悶えるコナンの姿があり軽く拍子抜けする。
「…1人で突っ走って行って何してんだよ、オメーは…」
「…っ!うるせーよ」
快斗が呆れたようにコナンに声をかけると、コナンは悔しそうに言葉を返す。
「もしかして、博士の発明…ここじゃ使えなかったの?」
名前は、コナンの姿とすぐ側に横たわる女性の死体を見て、何となく何があったのか把握出来たようで眉をよせる。
「ああ……キック力増強シューズも、この時計も…ここでは、ただの靴と時計ってわけだ…」
コナンは、切り裂きジャックが女性を襲う場面に遭遇し、いつもの如くキック力増強シューズで犯人を倒そうとしたのだが、ゲームの中では普通の靴に戻っていたために失敗してしまったのだ。
「コナン君大丈夫!?」
名前達がそんな会話をしていると、歩美達も追いついて来て心配そうに声をかけてくる。
「ああ、大丈夫だ……ん?」
「Oh my God!!」
コナンが、心配する歩美達に言葉を返していると、ふいに男性の大声に言葉が遮られる。
「……It's Jack the Ripper!!」
「……何て言ってるの?」
「英語みたいですね…」
女性の死体を見つけた男性が、切り裂きジャックが出たと声をあげているのだが、歩美達には言葉の意味が分からずに首を傾げる。
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「…日本語にしてください!!」
「はいっ!」
----カチャカチャ
モニタールームでその状況を見ていた優作は、急いでスタッフに声をかける。
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「…Huh?What's going on?」
「No…また犠牲者が出たぞ!」
「あ、日本語になりましたよ!」
突然、住人達の会話が日本語に変わり光彦が目を丸くする。
「………このタイミング…」
名前は、日本語に変わったタイミングの良さに首を傾げて暗い空を見上げる。
(ゲームの中の私達の様子…優作さん達にも見えているのかしら)
「…名前?」
ジッと空を見上げる名前に気付いた快斗は首を傾げる。
「もしかしたら、私達の様子…現実の人達に見えてるんじゃないかしら?」
「……という事は、」
名前の言葉に目を丸くした快斗は、名前の耳元にスッと顔を寄せて囁くように言葉を続ける。
「……周りに人がいねーからって、安易に名探偵や俺の正体に関しての会話はしない方が良いって事だな」
「ええ、そうね。私もコナン君に向かって、新一って呼ばないように注意しなくちゃ」
「…不便な世界だな」
「一方的に見られてるっていうのは…やりにくいわね」
小声で話ながら、名前と快斗は小さくため息をつく。
「…それにしても、まるで本物の世界だな」
「見るもの聞くもの…肌寒さも全て本物です」
名前達が小声で話す足元で、元太達が感心したように会話しているため、名前達も何となく光彦達に目を向ける。
「……足の痛さも本物だったぜ」
コナンもため息をつきながら、ポツリと呟く。
「まぁ…確かに、結構甘くねーみたいだぜ?…このゲーム」
「…快斗?」
コナンの言葉に頷きながら、そう呟く快斗に名前は首を傾げる。
「バーチャルの世界なら、チャラかと思ったんだけどな…この左手」
「え…腕の怪我まで反映されてるの?」
快斗の言葉に、名前は目を丸くする。
「ああ、もしかしたらノアズ・アークの仕業かもしれねーな」
「そう……」
サラリと答える快斗ではあったが、名前は完全な状態ではない快斗の身体や、これからのゲームの展開に不安を感じていた。