「ベイカー街の亡霊」編
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---カチャカチャ
「……どうです?博士」
優作は、真剣な表情でパソコンを操作する阿笠に声をかける。
「…確かに、コクーンには膨大なエネルギーが蓄積されておる…げながら参加者の子供達の脳を破壊するには充分な量がな…」
card.320
--ガタン!
「付き合っておれん、息子は連れて帰る!!」
「私もそうさせてもらう!」
「あ、お客様…!?」
会場では数人の保護者が立ち上がって、自分の子供達が入るコクーンに向かって行く。
「危ない!!止めるんじゃ!」
モニタールームからその姿を見ていた阿笠は、保護者達に向かって慌てて声をあげるが、保護者達にその声は届かない。
--グイグイ!!
数人の保護者は、自分の息子が眠るコクーンを無理矢理こじ開けようとする。
--バリバリバリ!
「うわぁっ!?」
「!!」
すると、突然コクーンから激しい音をたてて電流が流れ、コクーンをこじ開けようとしていた男たちは声をあげて倒れる。
『ゲームの邪魔は許さない。今は軽く痺れさせただけだけど…次は容赦しないからね!!』
「!?」
電流の音とともに、ノアズ・アークの冷たい言葉が会場内に響き、会場にいる参加者達は青ざめた顔で息をのむ。
---ダンッ!
「……くそっ、」
会場の席に座り、その光景を見ていた三船は悔し気に椅子を殴る。
--ま、最新テクノロジーを駆使したゲームらしいから楽しんで来いよ--
--ありがとうございます!--
「……ッチ、」
三船はつい数時間前にゲームの参加バッジを名前と快斗に渡した自分を恨みながらも、スッと席を立ち自分の部下に声をかける。
「おい、こんな事態だ。パーティーの関係者や毛利探偵が黙っちゃいねーだろ。どうなってんのか調べて来い!」
「は…はい!」
三船の言葉に、部下は足早に事態の把握に向かう。その姿を見送った後、三船はもう1度コクーンに視線を向ける。
「……頑張れよ、名前…快斗」
三船は小さく呟きながら、ギュッと拳を握った。
--モニタールーム
「……しかし、シンドラー社長。ヒロキ君が作り上げた人工頭脳が、どうしてこんな暴走を始めたんです?」
「そ…それは…」
目暮の質問に困ったように口ごもるシンドラー。それを見た優作が変わりに口を開く。
「……私から話しましょう。そもそも、ヒロキ君が父親と別れ、お母さんとアメリカに渡ったのは、日本の学校教育に壁があったんです…」
「教育の壁?」
「……子供の個性を摘み取ってしまう硬直した教育現場は、ヒロキ君をパソコンオタクの変わった子供としか見なかったそうです。教育現場だけでなく、日本という国は、個性というものを認めようとしない…」
「………。」
「つまり…日本のリセットとは、日本再生の方法を見つける前に自殺してしまったヒロキ君に変わって…2年前から、成長を続けたノアズ・アークが具体案を見つけたのでしょう。日本の二世三世が一同に会するこのゲームの発表会。親が敷いたレールを走れば良いという社会そのものを壊せば、日本は変わると……」
「工藤先生は、どうしてそんな事まで知ってるんです?」
白鳥は首を傾げながら、優作に尋ねる。
「実は…この1年、私と樫村は探偵と依頼人という関係で付き合って来ました」
「た…探偵?」
「何を依頼されたんですか?」
目暮と小五郎は、きょとんとした表情を浮かべる。
「ヒロキ君の自殺の再調査です」
「ヒロキは、自殺ではなく他殺だったというのかね!?」
優作の台詞に、シンドラーは焦ったように反応する。
「いえ…あの状況では自殺でしょう。何がヒロキ君を追い詰めたのか調べて欲しいと、樫村に頼まれたのです」
「…樫村さんとヒロキ君の関係は?」
事情が分からない目暮が、不思議そうに優作に尋ねる。
「樫村は、ヒロキ君の父親です…」
「なるほど…そうでしたか」
白鳥は納得したように小さく頷く。優作は視線を目暮達からシンドラーにうつして、更に言葉を続ける。
「幼い頃に離れ離れになったヒロキ君を、あんな形で死なせてしまった事に、樫村は深い自責の念を抱いていました…」
「…………。」
シンドラーは、その言葉に小さく目を見開く。
「…コナン君達が、ホワイトチャペル地区に入るぞ!」
優作達が会話している間、コナン達の動向をパソコン確認していた阿笠が、目暮達にそう声をかける。
目暮達は、一旦会話を切り上げてゲームを始めたコナン達を見守るべく、モニターに視線を移した。