「ベイカー街の亡霊」編
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「じゃーな、名前ちゃん!!またゲームの中で!」
「ふふ、そうね。また後でね、快斗」
名前と快斗は、微笑んで声をかけ合うと隣同士のコクーンに入り込んでいく。
card.315
『参加者全員搭乗完了…ブレインギアセット完了!カプセルリッド、クローズ!ソフト・ハードウェアにアクセス!』
アナウンス音とともに、コクーンのカプセルが閉じていく。
「………。」
(…本当凄いわね)
名前は、カプセル越しに隣のカプセルにチラリと目を向けると、名前の視線に気付いた快斗がヒラヒラと手を振ってくる。
「……ふふ、」
名前も嬉しそうに軽く手を振りかえしながら、ゲーム起動のためか突然訪れた眠気に身を委ねていった。
『…フェードイン・システム起動、生体反応オールクリア!シンクロ開始!転送トランスミッション異常なし…転送開始、パワーセット完了!』
「………。」
カプセルが光に包まれる中、コナンはジッと前を見つめる。
(…あるはずだ!このゲームの中に殺人事件の謎を解く鍵が…!)
「ゲームスタート!!」
モニタールームで、画面越しにコクーンの起動を見つめるシンドラーの言葉と共に、コクーンは音をたてて起動を始めていった。
「樫村っ!!」
ゲームが起動した頃、優作と阿笠は樫村る。に到着していた。室内では、樫村の遺体が布に包まれて運び出されようとする所だった。
「………。」
優作は、眉をよせて警察に運ばれていく姿を見送る。
「………樫村さんとは、長いお付き合いと聞きました。彼に恨みを持つものに何か心当たりはありませんか?」
そんな優作に向かって目暮が声をかける。
「………一緒ではないのですか?あの眼鏡の少年と…」
優作はしばらく考えた後に、ふいに小五郎に向かって尋ねる。
「……え?ああ、コナンですか?さっきまでここにいたんですが、キーボードのダイイング・メッセージを見た後に、何やら血相変えて出ていきましたけど…」
小五郎は優作の質問に首を傾げながらも、キーボードを指差す。
「……ダイイング・メッセージ?」
優作はキーボードを覗きこんで、僅かに目を見開く。
「…JTR!?」
「何じゃと!?まさかコナン君は、ワシのお土産を使ったんじゃ…」
「行きましょう!博士!」
阿笠の言葉に優作は小さく頷くと、くるりと踵を返し部屋から出ていこうとする。
「ちょっ……ちょっと待ってくれ!!3つのアルファベットはどういう意味なんだね?」
立ち去ろうとする2人に、目暮は戸惑ったように声をかける。
「……JTR。それはゲームに登場するある人物の略称です。私と樫村の間では彼の事をこう呼んでいました……Jack The Ripper!!」
「「…切り裂きジャック!?」」
「そう…十九世紀末のロンドンに実際に存在した殺人鬼です…5人の女性をナイフで殺害し、ロンドンを恐怖に陥れたサイコキラーをロンドン警視庁は結局逮捕出来ず…連続殺人事件は迷宮入りとなりました」
「………。」
優作の説明に、目暮達は真剣な顔で耳を傾ける。
「……樫村のダイイング・メッセージから、ゲームの中に犯人の手がかりがあると…コナン君は確信したのでしょう」
優作の言葉に目暮達は顔を見合わせるが、説明を終えてすぐに部屋から出ていく優作と阿笠に気づいて、慌ててその後を追った。
---ガチャ
「……ん?」
シンドラーは突然モニタールームに入ってきた数人の男に目を向ける。
「シンドラー社長、こちら警視庁の目暮警部です」
優作がシンドラーに目暮達の事を紹介する。
「警部?警察が何の用だね?」
「一時…ゲームの中止をお願いします」
「中止?馬鹿馬鹿しい…」
目暮の提案を、シンドラーはサラリと吐き捨てる。
---フッ
「!?」
すると突然、モニタールームの画面の光が消えたかと思うと、再び起動し始める。
「…シンドラー社長、システムに異常です!制御出来ません!」
「何っ!?」
「…………。」
突然の出来事に、優作もピクリと眉をよせる。
「ちょっと失礼…」
---カチャカチャ
プログラムの開発を手伝った阿笠が、1つのパソコンを操作し始める。
「……何だぁ?」
阿笠の後ろで、小五郎は1つのモニターを覗きこむ。
「名前!?それに子供達までいるじゃねーか!」
そしてコクーンを写し出すモニターを見て、いつの間にかゲームに参加している名前達の姿に目を見開く。
「…………。」
(新一…名前)
優作はジッと画面を見つめる。
----カチャカチャ
「!?」
---ザザ、ザザザ…
阿笠が操作していたパソコンは、突然フリーズしてしまい、ノイズが入りはじめる。
『……名は、…アーク………我が名は、ノアズ・アーク…』
「………なっ!?」
ノイズに混じり突然聞こえてきたその言葉を聞いて、シンドラーは目を見開いた。