「ベイカー街の亡霊」編
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---コンコン
「主任、工藤先生がお会いしたいそうですが…主任?失礼します…」
優作に頼まれて樫村を探しに来たスタッフは、ノックをしても返事がない事に首を傾げながらも扉をあける。
「!?しゅ、主任っ?どうしたんですかっ!?主任人当たり」
そして椅子に座ったまま力尽きている樫村の姿を見て、目を丸くして室内に駆け込んで行った。
card.312
---ブロロロ…
「千葉君!全ての出口は封鎖だ!」
「了解です!」
裏口からパーティーが行われている建物に入った目暮は、千葉や高来に指示を出している。
「お偉い方々が、たくさん来ているようですね」
警察手帳を片手に、高木が憂鬱そうに小さくため息をつく。
「ああ…警視副総監、財界の実力者…他にも代議士が多数」
「ふぅ、何かと気をつかいそうだな」
目暮は白鳥の言葉に同意するように頷きながら小さく息をつくと、気持ちを切り替えて現場に向かっていった。
「…何かあったのかしら?」
スタッフに耳打ちされ、真剣な顔をして会場から出て行った優作。その後に続いて小五郎やコナンまでも走って会場から出ていくのを見て、名前は隣にいる快斗に向かって声をかける。
「確かに少しざわついてんな」
快斗も頷きながら会場内を見渡す。先程までと、あまり変化のない会場に見えるが、普段から怪盗として世間を騒がしている快斗は、僅かな雰囲気の変化にも気付いていた。
「…俺らも行ってみるか?」
「うーん、大丈夫じゃないかしら?例え何か事件だとしても、今日は新一だけじゃなくて優作さんもいるし」
「ふーん」
名前の言葉に、快斗は先程会話を交わした優作の姿を思い返す。
「…なんか、俺に対して冷たくなかったか?あの親父」
「そうかしら?」
「俺の親父とも知り合いだったみたいだし…」
「!!」
顎に手をあててポツリと呟く快斗の言葉に、名前はハッとして快斗に視線を合わせる。
「……まさか、優作さんが快斗のお父さんの正体を?」
「いや…さすがに、そこまでは言いきれないが」
名前と快斗は、周りに聞こえないように小声で会話しながら顔を見合わせる。
「………。」
名前は、思ってもいなかった優作が"先代の怪盗キッド″と関わりがあるかもしれないという疑惑に、急に不安になり始める。小説家でありながら、数々の事件を解決している優作。彼がまだ日本にいた頃に、先代の怪盗キッドに関わった事があっても不思議はない。
「そうよね…よく考えたら、優作さんも新一みたいにいろいろな事件に関わってたみたいだから、もしかしたら…」
顎に手をあてて、不安気に考えこみ始めてしまった名前の姿を見て、快斗は困ったように名前の頭をポンポンと叩く。
「悪ぃ悪ぃ、お前がそんな顔すんなって。俺の考えすぎかもしれねーし…娘の彼氏なんて、良い顔しないもんだろ?普通」
「え?」
「お前の"親代わり″…なんだろ?」
「……新一に聞いたの?」
「ん?まぁな…」
快斗は少し困ったようにそう答えると、それを誤魔化すようにドリンクに口をつける。
「ま、俺は名前が言いたくない事は聞かねーよ」
快斗は、グラスに入った氷をカランと鳴らしながら、名前に向かって優しく微笑む。
「………快斗」
名前はしばらく快斗の顔を見つめたあとに、小さくため息をつく。
「……別に、隠すほどの事じゃないんだけどね」
そして、少し視線を下げながら戸惑いがちに口を開いた。