「ベイカー街の亡霊」編
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--カツーン
-----カツーン
シンドラーは、足音を響かせながらある部屋の前で足を止める。
--樫村ルーム
「………。」
扉に設置されたプレートの文字をキッと睨みつけると、シンドラーはそのドアノブに手をかけた。
card.310
「ほら、名前ちゃん!!これ食ってみろよ!」
「ふふ…快斗、ちょっと落ち着いて」
名前が持つ皿に次々と料理を乗せていく快斗に苦笑しながら、左手の使えない快斗の分のドリンクを受け取り、名前も快斗の後に続く。
「いや…こんな豪華なもん食えるだけ食わなきゃ損だって!」
「はいはい…あ、それ魚じゃない?」
「げ、まじかよ!気付かなかった、サンキュー」
「ふふ、やけに楽しそうね」
「だってさー、俺は美味いもんとか楽しい事は、1つでも多く名前に味わせてやりたいっていうか…」
「え?」
「あっ!これもうまそう!」
快斗が料理に手を伸ばしなが無意識に言った台詞に名前は目を丸くするが、快斗はそれにも気が付かずにまた違う料理に手を伸ばす。
てっきり珍しい料理に興奮しているのかと思っていたが、どれも自分のことを思ってくれていたと分かった名前は、ゆるゆると緩む頬をそのままに快斗の隣に並んだ。
「……本当美味かったな!」
ドリンクを飲み干して、快斗は満足したように笑いながら名前を見る。
「…本当。でも快斗食べすぎじゃないの?」
「平気、平気!」
「ふふ…」
名前は、そんな快斗に笑いながら自分もドリンクを口にする。
「……名前!」
楽しく会話をしていた名前は、後ろから自分を呼ぶ声にくるりと振り返る。
「……優作さん!」
そこには、片手を上げてにこやかに近付いてくる優作の姿。それを見た名前はパッと笑顔になる。
「…………。」
快斗も名前に続いて振り返ると、自分達に近付いてくる優作にペコリと小さく頭を下げる。
「…久しぶりだな」
優作は快斗に軽く頭を下げ返すと、優しく微笑みながら名前に声をかける。
「お久しぶりです!優作さん、ゲームの制作に関係してたんですね。突然ステージに出てきて驚いたわ」
「はは…ま、旧友が制作に関わっていた関係で少しね。…どうだい?新しい学校と1人暮らしは…」
「学校の方はみんな良い人ばかりだからすぐに慣れました。1人暮らしも…昔と大して変わらないから」
「………そうか」
優作は名前の言葉に小さく眉を寄せるが、すぐに笑顔に戻ってポンポンと名前の頭を撫でる。
「…ところで君は?」
優作と名前だけで繰り広げられていた会話は、そこで一旦途切れて名前の隣に立つ快斗に優作が声をかける。
「…江古田高校で、名前…さんと同じクラスの゙黒羽快斗″です」
「………"黒羽"?」
「優作さん?」
普段滅多な事では微笑みの表情を崩さない優作が、快斗の自己紹介にピクリと反応して目を見開いたため、名前は不思議そうに首を傾げる。
「黒羽っていうと……君は、もしかして黒羽盗一さんの…?」
「えっ…あ、はい。父さんの事をご存知なんですか?」
「ああ…昔からの…"友人″かな」
優作は含みを残すような言い方でそう答えると、真剣な表情でジッと名前と快斗の姿を見つめる。
「ところで、君達は付き合ってるのかな?」
「………ええ」
名前は優作のストレートな質問に、戸惑いながらも小さく頷く。
「……ふむふむ。新一はこの事は?」
「一応…知ってるわ」
優作の質問の意図を探りながらも、名前は正直に頷きながら答える。
「…………そうか」
優作はそこで小さく頷くと、いつもの優しい笑みに戻り楽しそうに笑う。
「こんな事だったら…有希子も連れて来るんだったな」
「あ……そういえば、今日は有希子さんは?日本に来ていないんですか?」
「……。」
(名探偵の母ちゃんか)
快斗は、優作と名前の会話を黙ったまま聞いている。
「…有希子は今日は同窓会だよ。日本に帰ってきたのは、久しぶりだからね」
「そうですか…久しぶりに会いたかったわ」
「名前が彼氏を連れて来たなんて聞いたら…後から有希子が大騒ぎしそうだよ」
「あはは。優作さんに問い詰めたあと、新一にも連絡してきそうですね」
「ああ、きっとそうだろうな」
優作の言葉に、名前も何となくその様子が浮かび苦笑した。