「ベイカー街の亡霊」編
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----タタタタ…
(Seven more minutes…)
---あと7分…--
小五郎にぶつかったシンドラーは、会場の照明が落ちたのと同時に足早にどこかに向かって行った。
card.309
「ほぉ、なかなか…立派な青銅像ですな…」
「何でもシンドラー社長のお気に入りのコレクションらしいですよ」
会場に置かれた大きな青銅像を見つめて雑談するのは、諸星秀樹と江守晃の祖父である諸星登志夫と江守哲之助である。
「ほーう…わざわざ持ち込むとは、よほど気に入ってるんですね」
「こういった像には珍しい。闘志溢れる姿がご自分と重なるのでしょう」
---バシッ、ガシャン!
そんな2人が見つめていた青銅像に、突然サッカーボールがあたり青銅像の短剣が音をたてて落ちる。
「…いっけねぇ、」
諸星と滝沢は、慌てたように短剣に駆け寄る。
「…秀樹、ここにボールを当てるのはやめなさい」
「はーい…」
祖父に注意された諸星は、素直に返事をして短剣を青銅像に戻して足早に立ち去って行く。
「ちょっとマズかったな…」
「どーって事ねぇよ。みんな安モンの像だ…」
顔を青くした滝沢の呟きに、諸星は大したことはないと言うように肩をすくめる。
「…まさか、分かるのか?」
「こんな所に高いモノなんか、わざわざ置くわけねーだろ?」
「それもそうか…」
「………。」
そんな会話をしている諸星達の横を、パーティー関係者に連れられた優作が、諸星達を横目で見ながら通り過ぎて行った。
パーティー会場の中心で取材陣に囲まれた優作は、笑顔でインタビューに答えている。
「コクーンの開発責任者である゙樫村忠彬氏″は、大学時代の悪友でして。今回の仕事を通じて、久しぶりに旧交を暖める事が出来ました」
そんな優作の元に、人混みの足元を抜けてコナンが近寄っていく。
「……ありがとうございました!TMS清水がお送りしました」
コナンが人込みを抜けると、ちょうど優作へのインタビュー中継が終わるところだった。
「……樫村氏はどこでしょう?会いたいのですが…」
「はい、すぐに探してまいります!」
優作が近くにいるスタッフに声をかけると、スタッフは頷いて会場を出ていく。
「………ん?」
スタッフの背中を見送った優作は、ふと視界の先にコナンの姿を捉える。
「………。」
「………。」
久しぶりの親子の対面ではあるが、今は子供の姿になっているコナンと優作が親し気に人前で話すのは不自然なために、お互いに口を開かずに一定の距離をあけて見つめ合っている。
「………。」
(元気そうで安心したよ)
「……。」
(お前もな…)
コナンと優作は、見つめ合ったまま口にはださずに視線で会話する。
(……あいつが、父さんに会いたがってたぞ)
コナンはそう目で伝えながら、チラリと離れた場所で楽しそうに話す名前の方に目を向ける。
「……。」
名前に優しい視線を向けながら小さく頷く優作に、コナンもフッと微笑むとくるりと踵を返してその場から離れていった。