「ベイカー街の亡霊」編
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「これ何ですか?」
歩美達が園子のバッジを見つけていた頃、名前は自分の手の中にある園子の胸元で光っていたのと同じバッジを見つめて首を傾げた。
card.304
「良いもんやるって言ったろ?これがあると、あのゲームに参加出来るんだよ」
電話では濁されてしまったが、案の定パーティーに参加していた三船。名前と快斗は、蘭達から少し離れた場所で三船と話していた。
「え?貰っちゃって大丈夫なんですか?これ三船さんが貰ったものなんじゃ…」
「良いんだよ。俺はゲームなんて全然興味ねーからな……ほら、お前にも」
そう言いながら、三船は快斗にヒョイッとバッジを差し出すため快斗は戸惑いながらもそれを受け取る。
「そういえば、お前名前なんていうんだよ?」
「黒羽、快斗……です」
快斗は三船の気さくな振るまいに戸惑いながらも、ポツリと自分の名前を告げる。
「"快斗″ね。……感謝しろよ?名前がお前を連れて来るって言うから、もう1つ余分に貰ってやったんだからな」
「……それはどーも」
「………。」
(もう1つ貰おうと思って貰えるなんて、さすが社長さんね)
少し戸惑いつつも三船とそれなりに会話を交わしている快斗。名前はそんな二人の様子に内心安堵しつつ、普通だったら手にするはずのなかったバッジをまじまじと見つめる。
「……お前、そんなに難しい顔するなよ」
そんな中、三船は苦笑しながら快斗に笑いかける。快斗は三船に会った時から、どこか気まずそうに眉間に眉を寄せた険しい顔をしている。
「だって、お前名前の事…」
快斗は戸惑いながら、チラリと名前に視線を向けて呟く。
「…ああ、まぁ"彼氏″の立場だったらそんなもんか。安心しろよ、俺こいつからこいつの兄貴宣言されてるからよ」
「………宣言したつもりはないですけど」
恥ずかしそうにポツリと呟く名前を尻目に、三船は更に言葉を続ける。
「……俺は、お前らみたいなまだ…青い子供じゃねーからな。愛を"家族愛″にも変えられるくらい柔軟なんだよ」
「?」
「だーから、もう何とも思ってねーって事!」
「はぁ…」
さすがの快斗も、三船のペースに巻き込まれて戸惑いながらも何となく納得してしまう。
「三船社長………お話中に失礼します。田淵さんが社長にご挨拶をしたいと…」
そんな中、三船に部下らしき男が声をかけてくる。
「ん?…あぁ、分かった。今行く」
三船は軽く手を上げてサラリと答えると、再び名前と快斗に視線を戻す。
「ま、最新テクノロジーを駆使したゲームらしいから楽しんで来いよ」
三船は、ポンッと優しく名前の頭を叩く。
「はい…本当にありがとうございます」
三船は笑顔でそう答える名前を見て、満足そうに微笑む。
「……快斗も。あとでまたゆっくり話そーぜ?」
「え……あ、はい」
去り際に三船は軽く快斗に向かって手をあげながらそう声をかけると、そのまま挨拶に来た人物の元へと向かって行く。
「キッドの話、何にもしてこなかったわね」
名前は三船の後ろ姿を見送りながら、ポツリと呟く。
「……そーいう奴なんだろうな、きっと」
「え?」
名前は快斗の言葉に目を丸くして、快斗の横顔を見つめる。
きっと、あえてその話題に触れてこないのは三船の優しさでもあり、2人を気遣った大人な対応なのであろう。
「俺……あーいう人結構好きかも。お前がなつく理由が分かったわ」
「えー?快斗、あんなに嫌ってたのに」
名前は、思わぬ快斗の反応にクスクスと笑う。
「うるせー」
快斗自身も予想外の自分の気持ちの変化に照れているのか、気まずそうに顔を逸らす。
「……三船さんの事だから、快斗が言えば快斗のお兄さんにもなってくれるかもよ?」
「あー、それは嫌だな」
「ふふ…でも、コクーンを体験出来るなんて思ってなかったわね」
「ああ…俺ちょっと楽しみかも」
快斗は、三船に貰ったバッジを見つめながら口角を上げる。
「あまり詳しく知らないけど、ゲームにもいくつかステージがあるらしいわ。快斗好みの面白いのがあると良いわね」
「へぇ…」
快斗と名前はそんな会話をしながら、バッジを手に蘭達の元に戻って行った。