「ベイカー街の亡霊」編
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---ピリピリピリ…
「……誰かしら?」
明日の学校の支度を終えて、眠りにつこうとしたところにかかってきた電話。名前は携帯に手を伸ばしソファに腰をおろしながら画面を確認すると、そこには思ってもみなかった人物の名前が表示されている。
「何だろう?」
名前は突然の連絡に首を傾げながら、通話ボタンを押した。
card.299
「もしもし…?」
『よぉ!お嬢ちゃん、久しぶりだな』
「こんばんは、相変わらずですね…三船さん」
名前は、"漆黒の星"の事件で知り合った三船拓也の相変わらずの口調に苦笑しながら答える。
『お前、彼氏出来たんだってな?』
「え、」
『鈴木財閥のお嬢さんが、わざわざメールしてきたぜ?"残念ですが名前の事は諦めてくださーい″…ってな』
三船は喉を鳴らすように笑いながら、園子からのメールの内容を説明する。
「…園子」
『…メールはだいぶ前に来たからよ、お前からの報告が来るまで待ってたのに、連絡が来ないから待ちくたびれたぜ!早く言えよな!!』
「すみません…?」
(何で私が三船さんに報告を…?)
『お前、どーせ"何で私が…″とか思ってんだろ?』
「………。」
『ったく…まぁ良かったじゃねーか。結局あの怪盗とうまくいったんだろ?』
「えっ!?いやいや…違いますよ!」
『なーに言ってんだ。あの怪盗のために、あんなにビービー泣いてたお前が、この短期間で別の男と付き合わねーだろ?』
「ビービーって…」
『まぁ…誰にも言ったりしねーから安心しろ』
「………それ、どこまで信用して良いんですか?」
『バーカ、俺がお前に嘘なんかつくわけねーだろ。どこまでもなにも、俺の全てを信用しろ』
「………はは、そうですか」
名前は、三船は無茶苦茶な言い分にため息をつきながらも、思わず笑ってしまう。
(なんか三船さんが言うと、何でも正しく聞こえちゃうのよね。それに不思議と安心しちゃうし。実際に会ったのは、あの時の1回だけなのに…)
「三船さんって…何かお兄ちゃんみたいですね」
『……は?』
「私…お兄ちゃんとか兄妹が欲しかったんで、なんか三船さんお兄ちゃんみたいで安心するし、話しやすいです」
『…………。』
「…三船さん?」
『ハァ…お前って…本当に…』
「?」
電話の向こうから聞こえて来る盛大なため息に、名前は小さく首を傾げる。
『まぁ…この際、兄貴って事で良い。それより、えーと…どうだ最近?なんか変わった事あったか?』
ため息混じりに呟くと、何故かガラリと話題を変える。
「なんか無理矢理話題変えましたね」
『いいんだよ!何かねーのかよ!?また、得意の事件に巻き込まれたりとか…』
「そうですね…最近で言えば、撃たれた事かしら?」
『はあ?』
意味がわからないというように声を上げる三船に、名前は大まかな流れを説明していく。
『試しに聞いてみたら、まさか本当にそんな事に巻き込まれてるとは…お前は本当に退屈しないな…』
ある程度の説明を終えると、三船は呆れたような声で呟く。
「…おかげさまで」
(他にも飛行機から飛び降りたりいろいろあったけど…)
『だけど気をつけろよ。いつもそうやって無事でいられるとは限らねーんだぞ』
「…はい」
『じゃあ、変わった事と言ったらそれくらいか?』
「そうですね……あ、そういえばこの間園子に何かのゲームのパーティーに誘われました」
名前は、先ほど少し話題に出た園子の事を思い出してそう答える。
『鈴木財閥のお嬢さんに?それって、来週やるパーティーか?』
「ええ、そうですけど…」
『…それって、お前の彼氏も来んのか?』
「え?まぁ…一応その予定ですけど」
『……ふぅん。じゃあ、俺はそろそろ寝るわ』
「…え!?はい、分かりました」
『……あ、お前の男に1つ伝言』
「え?」
『パーティーの日に、良いもんやるよって言っとけ!あ、もちろんお前にもやるからな!』
「えっ!?パーティーって三船さんも来るん……」
『じゃーな!おやすみ!』
突然切り上げられた会話に、名前は戸惑いながらも、「おやすみなさい…」と返して電話を切る。
「本当に変わった人」
名前は、携帯を見つめて小さく苦笑しながら呟いた。