「ベイカー街の亡霊」編
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ベイカー街の亡霊編
--2年前
-----マサチューセッツ州
『天才少年ヒロキ・サワダ君は、まだ10歳ながらマサチューセッツ工科大学に通う大学院生です。皮膚や血液データから、その人間の先祖を突き止める事が出来る"DNA探査プログラム″を開発して私達を驚かせたのは、記憶に新しいところですが…』
---カシャカシャ…
子供には不釣り合いな広い部屋に、高価なパソコン機器が置かれた室内。
テレビから流れるニュースでは、自分の事を取り上げられているなか"天才少年"と呼ばれるヒロキは、テレビには目もくれずにパソコンの操作を続けている。
『現在ヒロキ君は、人工頭脳の開発を手がけています。これを全面的にバックアップしているのは、IT産業界の帝王シンドラー・カンパニーの"トマス・シンドラー社長″です』
--カシャカシャ…カシャカシャ
『…人工頭脳、ノアズ・アークは人類史上最大の発明になるだろうと言われ、ヒロキ君は厳重なセキュリティの中に置かれています』
---ジジジ…
ヒロキの背後には監視カメラが設置されていて、自室にいるヒロキの姿を別室でシンドラー-カンパニーの社員が監視している。
--カシャカシャ、カシャ
ヒロキは一瞬パソコンを操作する手を止めて、何かを迷うような表情を見せるが、小さく頷いた後にenterキーを押す。
--カッ!!
すると、パソコンからヒロキの姿を包むほどのまばゆい光りが放たれる。
「なっ…何だっ!?」
ヒロキの様子を監視していた社員は、回線の異常に気付いてシンドラーに急いで連絡する。
---Noah's Ark 出航
「…………ふぅ、」
そんな中、ヒロキはパソコンの画面に表示された言葉を確認して小さく安堵の息をつく。
「……さようなら、僕の友達」
そして10歳の少年とは思えないような表情でそう呟くと、ゆっくりと立ち上がりベランダに向かう。
---ドンドン!ドン!!
「ヒロキ開けなさい!何をやってるんだ!?ヒロキ!」
異変に気付いたシンドラーは、鍵のかかった扉を必死に叩くが中からの返事はない。シンドラーは、身体の大きな部下に何とかして扉を開けるように指示をして、部下は扉に勢いよく体当たりを始める。
---ヒュォォォ!!
屋上に出たヒロキは、柵を乗り越えて遥か眼下に広がる街並みにジッと視線を向けた後に空を仰ぎ見る。
「……僕もノアズ・アークみたいに飛べるかな」
---バキッ!!
「ヒロキ!?」
「どこにいる?ヒロキ!?」
ようやく部屋の扉を蹴破り、数人の部下とシンドラーが室内に駆け込んで来るが、既に室内にはヒロキの姿はない。
「…ヒロキ!!」
シンドラーは、屋上に続く窓が開いているのに気付いて屋上に駆け出していく。
「!?」
しかし屋上にもヒロキの姿はなく、ヒロキの靴だけが綺麗に並べられて置かれていた。