「手負いの探偵団」・対面編
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「名前、だいぶ普通に動けるようになったね!」
「うん…もう痛みもほとんどないの。心配かけてごめんね」
病室内を歩く名前の姿を見て、蘭は嬉しそうな笑顔で声をかける。手術から2日。まだ力仕事や運動は出来ないが、日常生活には困らない程度に名前の身体は回復していた。
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「蘭ごめんね?あれから毎日お見舞いに来てもらっちゃって…大変でしょ?」
数日後に控えた退院のために、名前に変わって荷物を整理してくれている蘭。名前は、申し訳なさそうに声をかける。
「あら、全然良いよ!こんな時だもん。それに、昨日初めて江古田高校の名前の友達にも会えて楽しかったわ」
「ああ…賑やかでしょ、みんな。」
昨日お馴染みのメンバーである林、桜井、青子、恵子の4人がお見舞いに来てくれたのだ。青子に至っては、病室に入るなり号泣しながら名前に抱き着いてきて大騒ぎになったのだ。とは言え、あんな風に友人に心配してもらえると名前も嬉しかったのだが。
「そういえば、今日はコナン君が学校帰りに寄るって行ってたわよ?」
「え…そうなの?」
「うん。それでね、私ちょっとお父さんの仕事の都合で、コナン君が来る少し前には帰らないといけないのよ」
「……そうなんだ」
(新一…完全に蘭がいない時間を狙ってるじゃない)
名前は、蘭に気づかれないように小さくため息をつく。
---ガチャ!!
「名前ちゃーん!!アイスとフルーツ買ってきたよ!」
「あ、快斗ありがとう」
名前と蘭の会話を遮るように、快斗が買い物袋を抱えて勢いよく入って来る。
「黒羽君、毎日来てくれて本当に優しいのね」
「いやいや~!蘭ちゃんこそ、名前のために毎日ありがとね」
ここ数日ですっかり仲良くなった蘭と快斗は、名前が口を挟まなくても笑顔で会話している。
「あら!でも帝丹高校より江古田高校の方が遠いのに、毎日私が来る前には来てるし…本当に感心しちゃうわ!滅多に連絡すらしてこない新一とは大違いよ!」
「あはは、そうかな?」
(優しいには優しいけど…それは快斗が、あの手術の日から学校をサボって昼間から来てるからなんだよね…)
名前は、蘭の後ろでニヤニヤ笑う快斗にチラリと目を向けながらも、蘭に曖昧に言葉を返す。
「さて、黒羽君も来てくれたし…コナン君も来るみたいだから、私はそろそろ帰ろうかしら」
蘭は自分の荷物をまとめると、そう言いながら立ち上がる。
「あ…そうだね。いつも本当にありがとう。気をつけて帰ってね」
「ごめんね。また来るから!名前、黒羽君もまたね!」
「ありがとう、またね」
「ばいばーい」
手を振りながら病室を出ていく蘭に、名前と快斗も笑顔で手を振り返す。
---パタン…
「……えー、何?今日、名探偵来るの?」
蘭が出て行くと、名前のベッドにゴロンと横になった快斗が不思議そうに尋ねる。
「そうみたい。わざわざ蘭がいない時間に来るんだし、快斗に話があるんじゃない?」
名前は、快斗の髪をワシャワシャと撫でながら答える。
快斗と新一は、あの手術があった夜に二人で会話して以降、他の面会者がいたりとタイミングが合わず、会話らしい会話をしていない。
「……だろーなぁ」
快斗はニヤリと笑いながら起き上がると、買い物袋からガサガサと林檎を1つ取り出して、そのまま豪快にかじりつく。
「新一が来るっていうのに、何だか楽しそうね?」
名前は、思いがけない快斗の表情に小さく首を傾げる。
「んー?もう顔合わせちまったんだし、こうなったら後は仲良くなるしかねーだろ?」
「"仲良く″……ね」
名前は快斗の言葉に、目を瞬かせながら小さく笑う。
「……何だよ?」
「ううん。本当にそうなったら良いな…って思っただけ」
名前は、独り言のようにそう言いながら、快斗の肩にコテンと寄り掛かる。
--バーロー、仲良くなれるわけねぇだろーが!--
--……いいえ、きっと仲良くなれると思うわ--
(あの時、ああは言ったけど。まさか、こんなに早く対峙する日がくるなんて思わなかったわ…)
「もぉーっ!!甘えん坊な名前ちゃんも可愛いーっ!」
コナンの来院を心配する名前をよそに、快斗はニヤリと笑いながら嬉しそうに名前に抱きついた。