「手負いの探偵団」・対面編
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---コツコツ…
病室を出たあと蘭達のそばから抜け出したコナンは、薄暗い院内をキョロキョロと辺りを見渡しながら歩いていた。
(…あいつ、どこに行ったんだ?)
「……ん?」
ふと前から歩いて来る人影に気付いて、コナンは小さく眉をよせる。
「あっ、コナン君!」
「…何だよ、オメーらか」
コナンは自分に駆け寄って来る歩美達の姿に小さく息をつく。
「今までどこ行ってたんだ?向こうで博士が心配してたぜ」
「向こうで快斗さんと話してたんですよ」
「良い奴だったよな!」
「もぉ、元太君ったら!そんな言い方は失礼だよ」
「!!それで、その…"快斗お兄さん″は、今どこに…?」
コナンは3人から出てきた思わぬ名前に驚いて僅かに目を見開くが、まさに自分が探していた人物だったため歩美達に快斗の居場所を尋ねた。
card.292
コナンが光彦達に聞いた場所に足を向けると、ソファに座っている快斗の姿が目に入って足を止める。
「………。」
コナンが何と声をかけようか迷っていると、コナンの足音に気付いたのか快斗がチラリと振り返ってコナンに視線を向ける。
「………快斗お兄さ…」
「よぉ…名探偵」
「!!」
素顔のキッドとは初対面であるため、コナンは一応小学生のふりをして声をかけたが、それを遮るように快斗がいつもの口調で声をかけてくる。
「誤魔化すつもりはねぇみたいだな」
小さくそう呟きながら、コナンは快斗から少し間をあけてソファに腰をおろす。
「何を今さら。オメーの前に姿を見せる時点で、誤魔化すつもりなんかねーよ」
「………そうか」
コナンは"怪盗キッドの姿″では何度も対峙しているが、変装していない姿の快斗は初めて見るためチラリとその横顔に目を向ける。
すると突然、快斗から怪盗キッド時に感じるような凜としたオーラを感じてコナンはぴくりと眉を上げる。
「なぁ……名探偵、」
それと同時に、快斗がポツリと声をかける。
「……何だよ?」
「オメー…俺に言ったよな?俺と一緒にいる事で…"名前が危険な目に合うのは許せねぇ″って」
「あ、ああ」
「……それなのに…なぁ!これはどういう事だよ?」
穏やかな口調で話す快斗だが、身体全身から出るオーラからは、怒りや殺気のようなものをヒシヒシと感じる。
「……どういうって…」
「…オメーと一緒にいたのに、あいつがこんな目に合ってんのは、どーいう事だって聞いてんだっ!!!」
戸惑うコナンの言葉を遮り、先程とは対象的に快斗が突然大声を出す。
「!!」
「こんな事になるんだったら、オメーが俺にあれこれ偉そうに口を出す権利なんかねーんじゃねーのか!?」
「ーっ!!そんな事、犯罪者のオメーには言われたくねぇよ!」
「何だと…!?」
----ガタン!
2人は勢いよくソファから立ち上がると、ジロリとお互いを睨み合う。
「…あなた達、うるさいわよ」
そんな2人の後ろから、ふいに冷静な声が響き2人はくるりと振り返る。
「ここは病院なんだから…もう少し場所をわきまえたら?」
「灰原……」
「哀ちゃん……」
そこには、呆れたように自分達を見つめる灰原の姿。
「工藤君も…名前が撃たれた時は、この世の終わりみたいな顔して落ち込んでたんだから…意地張ってないで素直に謝ったらどうなの?」
「なっ…馬鹿!灰原!!」
「………。」
灰原の言葉を聞いた快斗は、チラリとコナンに目をむける。
「…黒羽君、あなたもよ。確かに危ない所にホイホイ入っていったのは、工藤君にも責任があるけど、今回の事件は不可抗力でしょ?名前が撃たれて苛立ってるからって、工藤君に当たるのは筋違いよ」
「………。」
灰原の言葉に、快斗も気まずそうにコナンから視線をそらす。
「……あなた達、こんな状況とは言え名前は無事だったんだから、少し冷静になりなさいよ」
「ごめん…」
「悪い…」
二人は灰原にジロリと睨まれて肩を落とす。
「……とにかく、もう少し落ち着いてから2人で話し合えば?」
灰原の言葉に、快斗とコナンはチラリとお互い顔を見合わせるが、コナンが小さくため息をついた後に先に口を開く。
「ああ……そうだな。俺は1回戻る……"悪かったな、黒羽″」
「お前……!」
コナンは気まずそうにそう呟くと、驚いている快斗の返事も待たずに、スタスタと立ち去っていった。