「手負いの探偵団」・対面編
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---コンコン
「失礼します。術後の検査と処置を行いますので、付き添いの皆様は一度退室していただけますか?」
病室に看護師が入ってきて、付き添っていた目暮達にそう説明する。看護師の言葉に従い皆がゾロゾロと病室を出ていくなか、快斗は看護師に声をかける。
「すみません。名前は、あとどれくらいで麻酔が…?」
「そうですね…個人差もありますが、あと1時間くらいだと思いますよ」
「……そうですか。ありがとうございます」
快斗はベッドで真っ白い顔で眠る名前にチラリと視線を向けた後、小五郎達に続いて部屋を出た。
card.290
「付き添いの方は、良かったら個室の控え室がありますので、よろしければそちらに……」
看護師に案内されて、小五郎達はゾロゾロと控え室に向かって移動していく。
「黒羽君…だったかな?君も一緒にどうだ?」
目暮は、病室の前の壁に寄り掛かっていた快斗に優しく声をかける。
「あ…いや、俺はその辺の椅子に座ってるんで。…ありがとうございます」
快斗は、廊下に設置されているソファをチラリと示しながらそう答える。
「そうか…あまり無理してはいかんぞ」
目暮は小さく微笑んでポンッと快斗の肩を叩くと、くるりと踵を返して控え室に向かっていく。
「…………。」
快斗はその姿を見送ると、まだ病室前にいる佐藤達に小さく頭を下げてスタスタとどこかに向かって歩いていく。
「彼…"快斗″君って言ってたかしら?」
「はい、そう言ってましたね」
佐藤は快斗の後ろ姿を見つめながらポツリと呟き、その言葉に高木も小さく頷く。
「名前さん彼氏いたんですね」
「まぁ…高校生だからな。年齢的には、いても不思議じゃないだろう」
高木と白鳥は、しみじみとそんな話をする。
「でも凄く名前ちゃんの事を想ってるのが伝わって来たわね。名前ちゃんの相手だし…良い人そうで良かったわ」
佐藤は少し嬉しそうにそう呟くと、チラリと隣に立つ高木に目を向ける。
「…何ですか?」
「初対面の私達にも礼儀正しいし、あーんなに真っ直ぐに想われてるなんて…何だか羨ましいわ」
「さ…佐藤さん?」
「……さ、私達も控え室に行きましょうか」
戸惑う高木を尻目に、どんどん控え室に向かっていく佐藤。
「…だそうだよ、高木君」
白鳥は楽しそうに高木の肩を叩くと、佐藤に続いて足を進める。
「えっ!?ちょっと待ってくださいよ~!!」
高木は佐藤の言葉に戸惑ったような声をあげながらも、2人の後を追って行った。
---ピッ、ガランガラン
快斗は自動販売機でミネラルウォーターを買うと、病棟の休憩スペースに設置されたソファに腰をおろす。名前達が鍾乳洞から救出された時は日が暮れ始めていたため、手術が終わった今は真夜中。院内は薄暗く静まり返っていて、快斗の周りには誰もいない。
「…ったく、まだ震えてやがる」
水を一口口に含むと、快斗は小さく呟きながら自分の手を見つめる。名前の無事を知った今でも、名前自身はまだ眠り続けている。そのため、快斗はまだどこか安心出来ていないのだ。
(あの電話を受けてから、ずっと止まらねーな)
僅かに震える自分の手を自嘲気味に見つめながら、快斗は気持ちを落ち着かせようとゆるりと目を閉じた。