「手負いの探偵団」・対面編
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card.289
---ピッ、ピッ
規則的な心電図のモニター音が響く室内。手術が終わり個室に移された名前。麻酔の影響でまだ眠っているが、血液を多く失ったせいかその顔は驚くほど白く痛々しい。
室内にはコナンや蘭、目暮達といった手術が終わるのを待っていたメンバーが全員揃っている。
---ダッダッダッ!!
「…ん、足音?」
扉の近くに立っていた佐藤刑事が、静かな院内の廊下から響く大きな足音に眉をよせる。
---ガラッ!!
「名前っ!!」
そしてその足音は名前の部屋の前で止まったかと思うと、勢いよく扉が開いて1人の人物が部屋に飛び込んで来る。
「誰?」
「……蘭、知り合い?」
「知らないわ…」
高木や蘭達は、見覚えのないその人物に首を傾げる。
「誰だね?君は…」
突然病室に飛び込んできた人物に目暮が確認のために首を傾げながら尋ねる。
「……ハァ、…ハァ、俺は…」
「……。」
走ってきたためか肩で大きく息をする人物を、名前のベッドの一番近くにいるコナンはジッと見つめる。
「ハァ……俺は、」
その人物は息が少し落ち着いたところで、自分を見つめる目暮に真っ直ぐ視線を向けて口を開く。
「俺は…江古田高校の黒羽快斗と言います。名字名前は俺の恋人です」
「!!」
(……こ、こいつが!?)
コナンは真剣な表情で自己紹介をする快斗の姿を目を見開いてジッと見つめる。
「名前ちゃんの…」
「……恋人?」
佐藤や白鳥達も初めて見る人物に、小さく目を見開いている。
「あなたが名前の…」
蘭や園子は今まで名前すら聞いていなかった友人の恋人を見ながら、お互い顔を見合わせている。
「そ、それで!?名前の容態はっ!?」
周りの人間が自分に注目するなか、快斗は大声で目暮とその隣に立つ小五郎に詰め寄る。
「ちょ…ちょっと、君…落ち着きなさい…!」
「名前の容態はだな…」
「手術は無事終わって命に別状はないそうよ。後は麻酔が切れて、目が覚めるのを待つだけ」
快斗の勢いに押されて戸惑う目暮と小五郎の言葉を遮り、スッと快斗の前に出て灰原が告げる。
「……あ、哀ちゃん…それ、本当…?」
快斗は視線を灰原に向けると、小さく声を震わせながら尋ねる。
「…ええ、本当よ」
「名前……もう大丈夫なのか?」
「ええ」
「…そ…っか……そっか、…そっか!!」
快斗は灰原の言葉を聞いて、噛み締めるように何度も頷きながら大きく息をつくと、両手で顔を覆って倒れるようにその場に座り込む。
「お…おい!?」
「君、大丈夫か……!?」
「…………良かった」
全身の力が抜けたように座り込んだ快斗から、ため息と共にポツリと震えた声が漏れる。室内に響いたその言葉と、快斗の姿を見た目暮達は僅かに目を見開く。そして顔を隠したまま僅かに肩を震わせている快斗に、何と声をかけていいか分からないままただジッとその姿を見つめていた。