「手負いの探偵団」・対面編
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「名字名前さん…女性!バイタル体温35.5、血圧70台、脈拍50台、Spo2:80%台に低下しています!!意識レベルはⅡ-30~Ⅲ桁に低下、血液型は現在確認中です!」
「急いで手術室へ!!輸血と抗生剤の準備、酸素投与開始して!」
「はいっ!!」
意識をほとんど失いかけている名前を乗せたストレッチャーは、慌てた様子の数人の医師に囲まれてガラガラと手術室へ運ばれていった。
card.288
「えぇ!?手術?」
「どういう事?」
「名前…ただの怪我じゃなかったの?」
緊急で運ばれた病院の手術室の前では、少年探偵団が心配そうに閉じられた手術室の扉を見つめている。
連絡を受けて駆け付けた小五郎と蘭と園子が、緊急手術と聞いて目を見開いて阿笠に詰め寄っている。
「あ、いや…その…」
「拳銃で撃たれたのよ」
「え…?」
何と説明しようか戸惑う阿笠の足元で、灰原が真剣な表情で言葉を続ける。
「銃創の部位は、左側腹部…弾は貫通してるけど出血が多く腎損傷の可能性もあって、危険な状態らしいわ…」
「何…!?」
「……あ、哀ちゃん?」
3人は冷静に状況を告げる灰原に戸惑いながらも、名前の病状の深刻さに眉をよせる。
--ポンッ
「とにかく…手術が無事に終わるのを待とう」
思った以上に深刻な状態に戸惑う小五郎の肩を、目暮が力強くと叩きながら小さく呟く。
「……目暮警部」
強盗殺人犯に撃たれ、重症。しかもそれが、知り合いである名前とだけあって、目暮や高木、佐藤、白鳥も病院に残って名前の手術が終わるのを待っていたのだった。
「灰原哀さんいますか?」
しばらくすると、手術室の横の扉から1人の看護師が出てきて灰原の名前を呼ぶ。
「なんじゃろうか?」
「…はい?」
阿笠達が不思議そうに首を傾げる横で、灰原は小さく返事をして歩み出る。
「え……子供?」
歩み出て来た人物が予想外の小学生だったためか、看護師は一瞬目を見開く。
「何かしら?」
「え…あ、これ名前さんのポケットに入ってたんだけど"灰原哀″に渡してって頼まれて…」
そう言いながら、看護師は携帯を灰原に手渡す。
「そう…」
「それと、1つ伝言が…」
「え?」
「…"連絡しないでくれ″って。…何の事だかわかる?」
「………。」
「伝言はそれだけなの……じゃ、お願いね」
看護師は不思議そうに首を傾げながらそう話すと、再び扉の向こうに消えて行く。灰原は、そんな看護師の言葉に眉をよせて受け取った携帯に目を向ける。
(……不在着信?)
ピカピカと着信があった事を知らせる光が点滅している名前の携帯。
「……。」
灰原は少し考えた後に、携帯を開いて画面を確認する。
「……これって」
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黒羽快斗 着信10件
黒羽快斗 メッセージ5件
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("黒羽快斗…?″…もしかして…)
聞き覚えのないその名前を見て、灰原は1つの可能性が思い当たり、ゆっくりと天を仰ぐ。
(……どうしようかしら)
灰原は少し迷いながらも名前の携帯を片手に阿笠達から離れると周りに誰もいない事を確認して通話スペースのソファに腰をおろす。
--1つ伝言が…"連絡しないでくれって″--
看護師の言葉を思い出してながら、灰原はジッと携帯を見つめる。
----ブー、ブー
「!!」
その時、まるでタイミングを見計らったように名前の携帯が着信を告げて震え出す。
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着信:黒羽快斗
--------------
そこには先程の不在着信と同じ名前が表示されている。
----ブー、ブー
「……………。」
--連絡しないでくれって…--
--ブー、ブー
「……。」
灰原は震える携帯を見つめたまま少し考えた後に、そのまま携帯をポケットにしまおうとするがふいにその手をピタリと止める。
--哀ちゃんに1つ言わせてもらおうか。俺は……--
その時、なぜか灰原の脳裏には以前聞いた1つの台詞が響く。
「………ふっ」
そして、灰原は小さく笑った後に名前の携帯を開く。
---ブー、ブー……ピッ、
そしてゆっくりと通話ボタンを押した。