「手負いの探偵団」・対面編
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「おいっ!!名前、大丈夫か!?」
頬をパシパシと叩かれながら名前を呼ばれて、名前はゆるりと目を開ける。
「…ハァ…何?」
「灰原達には一応メッセージを残した。俺達はこのまま奥に進むぞ!歩けそーか?」
コナンが心配そうに自分を覗き込んでいるのを見て、名前は小さく微笑む。
「……平気よ、行きましょう」
名前は、ふーっと息を吐き出しながら膝にグッと力を入れて立ち上がった。
card.287
「おーい!!みんなー、どこ行ったんじゃ!?」
鍾乳洞の外ではなかなか戻って来ないコナン達の事を、さすがに不審に思った阿笠と灰原が森の中を探しまわっていた。
「見て、博士。これ薪用に集めた枝よ」
「え?」
すると、灰原が鍾乳洞の入口で5人分並んだ薪を見つける。
「5人分綺麗に入口に並んでるわね」
「じゃあ、まさか…あの子らはこの鍾乳洞の中に?」
「とにかく入ってみましょう…」
灰原はため息をつくと、腕時計のライトをつけて鍾乳洞に入って行く。
「…結構、広いのぉ。もしかしたら中で迷子にでもなったんじゃ…」
阿笠がくるりと辺りを見渡しながら進んで行く横で、灰原が何かを見つけてしゃがみ込む。
「博士!この眼鏡、工藤君のよね?」
「あ、あぁ…新一君の眼鏡じゃ!何でこんな所に眼鏡だけ落ちてるんじゃ?」
(迷子にしても、眼鏡だけ落とすなんて不自然だわ。まさか、わざと…?)
灰原は、不審に思いながら眼鏡のスイッチを入れる。
--ピッ
「…!?博士、何か落ちてるわ。このそばにたくさん…」
「え?」
眼鏡に映し出された光を見て、灰原が阿笠に声をかける。
「……あ、哀君!ボタン型発信器が落ちておる!」
「博士、触らないでっ!何かの形になってる!」
(…受信範囲を縮小すると…)
「こ…これって、110番!?」
眼鏡に映し出された"110″という光を見て、灰原は目を見開いた。
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「ハァ…ハァ…」
「おい…姉ちゃん大丈夫か?」
「だ…大丈夫よ…ごめんね、元太君…重いでしょ?」
名前は、比較的身体の大きな元太の身体に掴まりながら何とか足を進めている。
「…………。」
コナンは男達に追いつかれないか気にかけながらも、名前の様子をチラチラと確認する。
「コナン君、こっちに来て!」
「…どうした?」
少し先を歩いていた歩美に呼ばれたコナンは、名前から歩美に視線を移す。
「ここで道が5つに別れてるんです…どれかが出口に通じてるんでしょうか?」
「………。」
先を歩いていた歩美と光彦に追い付くと、目の前が5つの道に別れている。コナンは、その前に立ち止まって眉をよせる。
「おい、姉ちゃん…ここに座れよ」
「ありがとう…元太君」
名前は元太に支えられながら壁によりかかり、腰をおろしながら目の前の道を見つめる。
「………ハァ、ハァ」
(……5つの道?この中のどれか一つ出口だとしたら…間違えると少しまずいわね…)
自分の身体的にも、後を追う犯人達との距離的にも、残されているタイムリミットはそう多くないと感じた名前は、5つの道を見つめながら僅かに眉をよせる。
「…ハァ…ハァ…ん?」
(あれは…?)
岩にもたれて座っていた名前は、ふいにコナンが立つ足元の岩が目に入る。
「しん…ハァ…コナン君…」
「名前っ!?どうした!?」
ふいに名前に声をかけられたコナンは、血相を変えて振り返る。
「馬鹿…ね、そんなに慌てなくても…私…まだ大丈夫よ。……ハァ、それより…コナン君の足元…の岩…ハァ……何か…書いてあるわよ…」
「何!?」
名前の言葉に、コナンは足元の岩に視線をうつす。
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闇に迷いし者
龍の道に歩を進めよ
さすれば至福の光
汝を照らさん
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「!!」
コナンは、岩に記されたその言葉を見てしばらく考えた後に、小さく息をのむ。
「分かったぞ!!出口に繋がる"龍の道″がっ!」
「本当ですか!?コナン君!」
「ああ、早く出口に向かおう!名前っ、立てるか?……おい?名前っ!!」
出口まであと一歩となり、安堵の微笑みを浮かべてコナンが振り返ると、名前は真っ青な顔で息絶え絶えに壁に寄り掛かっている。
「名前お姉さん!!」
「た…大変です!血がいっぱい出てますよっ!?」
「名前っ!!」
「…ハァ…し…んいち?」
何度か呼びかけると、名前はようやくゆるりと目を開けて掠れた声を出す。子供達の前で自分の幼馴染を「コナン」と呼ぶのを忘れてしまうほど、名前の意識は朦朧とし始めている。
「おい、あと少しで出口なんだっ!!立てるかっ!?」
「…ハァ…う…ん…」
「よしっ、頑張れ!!元太、光彦!手を貸してくれ!名前を支えて外に出るぞ!」
「ああ!」
「名前さん!!あと少しです!頑張ってください!」
「…あ…りがと……」
コナンの掛け声のもと、光彦と元太とコナンの三人で名前の身体を支えながら、コナンが導き出した1つの道に入っていく。
「ハァ……ハァ、ハァ」
(まずい…目が霞んできた…)
名前は三人に支えられながらも、徐々に意識が朦朧としてくる。
----ダダダ!!
「あ……足音っ!?」
「やべぇ!!奴らが来る!」
ふいに洞窟内を響いて伝わってくる足音に、光彦と元太は青い顔をして後ろを気にしながらも必死に先を進む。
「…見えたぞ!出口だ!」
そんな中、先頭を走るコナンが声をあげる。
「……っ!」
しかし、あと一歩の所で足に力が入らず名前がドサッと倒れてしまう。
「名前っ!?」
「名前お姉さんっ!」
名前が倒れた事で、焦ったように歩美達は足を止めて名前に駆け寄る。
---ダダダ!!
(まずいっ、追いつかれる…!)
コナンは倒れた名前に駆け寄りながら、徐々に近付いて来る足音に眉を寄せる。
---カッ!!
すると、ふいに洞窟の出口からまばゆい光が差し込んでくる。
「………え!?」
「な…何っ!?」
追いついた男達も、突然洞窟内を照らす光に目を見開いて足を止める。
『警察だっ!!お前らは完全に包囲されている!銃を捨てて投降しろっ』
「……ハァ…け、いさつ…?」
名前は朦朧とする意識の中、スピーカーを通して洞窟内に響く、聞き覚えのある目暮の声に思わず安堵しながら顔をあげる。
「!!」
コナンが後ろを振り返ると、鍾乳洞の入口から後を追って来たのか、高木・佐藤・白鳥刑事達が男達を確保している。
「よ…か…った」
名前も倒れた状態で首だけ動かしてその様子を確認し、ポツリと小さく呟きながら、徐々に全身の力が抜けて来るのを感じる。
----ブー、ブー
出口に近付いたため、圏外ではなくなった名前の携帯。持ち主が意識を失いかけているなか、ポケットの中でいつまでも小さく振動していた。
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-お詫び-
このお話は25巻の"手負いの探偵団″をかなり私の都合上で変更させていただきました。また、この連載の都合上作り上げたかったシチュエーションのためにこのお話を書いたので、暗号の謎解き部分やコナンと犯人達の攻防などをかなり省略してしまいました。原作を知らない方には、よく分からないお話になってしまったかと思いますがお許しください。原作を知っている方でも、かなり省略したので少し分かりにくいお話になってしまったかと思いますがご了承ください。