「手負いの探偵団」・対面編
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----ガラッ
「……何だ、黒羽まだ帰らないのか?お前がこんな時間まで学校にいるなんて珍しいな」
放課後の教室に入ってきた中村は、1人で携帯を操作しながら暇そうに座っている快斗の姿に僅かに目を丸くした。
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「んー?名前が委員会だって言うから待ってんだよ」
ただ単に暇潰しの手段として目的もなくただ適当に操作していただけなのか、中村が話しかけると快斗は見ていた携帯を机に置いて中村に言葉を返す。
「…お前は名字の事になると、本当に過保護というか何というか…」
中村は苦笑しながら呟く。
「ったく、先生も分かってねぇな」
「?」
(………先生"も″?)
「何かあって後悔してからじゃ遅いだろ?何たって、名前ちゃんは…あんなに可愛いんだから!!」
快斗の言葉に一瞬引っ掛かった中村だったか、いつもの調子でニヤニヤしながら話す快斗を見てため息をつく。
「ま…名字の顔立ちが整っている事は認めるが」
「整ってる程度じゃねーよ!!あんな可愛い奴いねーだろ?」
「…そうか?」
(……仮にも担任に向かって、ここまで惚気られる黒羽が凄いな)
中村は快斗の発言に呆れつつも、何となく快斗の座る席の近くに腰をおろして会話を続ける。
「それに、あいつを見てたら過保護にもなるって」
「何でだ?名字はしっかりしてるし、お前の方がよっぽど危なっかしいだろ」
「いやいや、違うんだよ!しっかりしてるが故に、他人ばっかり気にして自分が危ない目に合うのは、仕方ないって諦めちまうタイプなんだよ!」
「ふーん?……それにしても、黒羽曰く"可愛い名字″が、お前と付き合う事になった事が驚きだがな」
「そうか?先生が知らねーだけで、俺って案外良い男なんだぜ?」
「ははっ…お前ら学校じゃ割と普通だったのに、連休明けあたりで突然付き合い始めたよな、確か」
ニヤリと笑う快斗の言葉を適当に流して、中村は連休明けに朝早くから快斗が上機嫌で彼女が出来たと騒いでいたのを見て、呆れながらも僅かに驚いた日の事を思い出しながら呟く。
「そりゃー、俺達には学校生活以外の先生が知らねーところで、"めくるめく!スリルと愛のロマンス"があったわけだよ!」
(毎度お馴染みの殺人事件に始まり…ヘリだの飛行機から飛び降りたり、燃え盛る城から脱出したり…な)
快斗はこの場では、決して口には出せな名前と自分が親しくなった経緯を心の中で呟く。
「……めくるめくロマンスねぇ、」
中村は、わけが分からないと言うように首を傾げる。
「そんな事より、聞いてくれよ!!中村ちゃん!」
「何だ?」
(……中村ちゃん?)
快斗は急に中村に詰め寄って行く。
「名前…明日の休みにキャンプ行くんだってよ」
「……別に良いじゃないか。休日に引きこもるよりも、活動的で」
「馬鹿言え!!俺が、あんな夢を見た後だってーのに!」
「"夢″ねぇ…お前は、基本的に大袈裟なんだと思うぞ。たまには、良くない夢くらい見るだろ」
----ガラッ
「ごめんね。快斗お待たせ……あれ、中村先生?」
中村の呆れたような言葉とほぼ同じタイミングで教室の扉が開き、委員会を終えた名前が入って来る。
「快斗、また中村先生に相手してもらってたの?」
名前は、二人で仲良く座って何かを話していた快斗と中村を見て、クスクス笑いながら尋ねる。
「…何だよ?」
「だって何だか先生と快斗って、兄弟みたいなんだもの」
「え!?」
「俺と黒羽がか?」
「ふふ…先生には悪いですけど、なんかやんちゃな弟の世話をやくお兄ちゃんに見えますよ。…先生と快斗って意外と仲良いし」
名前の言葉に、中村と快斗は何とも言えない気持ちでお互い顔を見合わせたのだった。